◆「◆「季節の変わり目は夏バテで疲れた体をしっかりケア」◆
湿度が高く、連日続く猛暑は、体にとっては大きなストレスです。「食欲もなくなるし、だるくて何もする気がしなくなるし、夏は苦手」という人も多いのではないでしょうか。夏バテは、かぜのように高熱が出たり、けがや病気のようにはっきりとした痛みがあるなどの日常生活に差し障りが出るような症状がないだけに、これといった対策もしないまま暑い日々をなんとかやり過ごし、涼しい季節を待ち望むことになりがちです。
ところが、夏も終わりに近づき、朝晩涼しくなってくると、体調を崩したり、体重が減ったりした経験はありませんか。夏の暑さに対応しようと頑張ってきた体の疲れが、急に涼しくなる初秋に出てしまうのです。
夏バテとは、夏、暑い日が続いたために起こる、全身の疲労感、倦怠感、無気力になる、食欲不振、下痢・便秘などの状態を表す言葉で、いわゆる病気という範疇には入りません。しかし、これらの症状を放っておくと、夏の終わりになって夏バテ後遺症または秋バテとよばれる自律神経失調症になる場合があります。次の夏バテの原因を確認し、対策を講じておきましょう。
夏バテの後遺症について心配する前に、まずは夏バテしない生活を心がけることが先決です。暑い夏を上手に乗り切るには、食事、睡眠、運動など、ふだんの生活を規則正しく送るという、ごくあたりまえのことが大切になります。
夏バテというと、真夏の暑さに体力を消耗した結果起こる食欲不振などの体の不調をいうのが一般的です。しかし、夏が終わり涼しくなってきたころに、暑さによる疲れが蓄積した体が朝晩の急激な気温の変化に対応できず、かぜをひいたり、体重が減ってしまったりなど、体調を崩してしまうことがあります。これらの症状も夏バテと同様ですが、「夏バテ後遺症」や「秋バテ」などとも呼ばれています。
夏バテにならなかった人でも、季節の変わり目は気温や湿度、気圧の変化などによって体調を崩しやすくなります。疲れが蓄積した体にはなおさらのこと。夏バテ後遺症を引きずらないためには、早めに体の疲れをとってあげることが大切です。
芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋…etc。一年で最も充実した活動ができる季節を元気に迎えるために、夏バテの後遺症をいつまでも引きずらないよう、しっかりとケアしましょう。
発行:ティーペック株式会社
原稿:社会保険研究所ⓒ
厚生労働省は8月末までに、現行高齢者医療制度に代わる新たな制度の大枠を「中間まとめ」の形で公表する方針ですが、「強い社会保障」と「強い財政」を掲げ、社会保障の基盤強化と財政の健全化を目指す民主党政権下で、どのような改革構想が示されるかが注目されます。改革のキーワードは「制度の持続性」―。中間まとめを契機に年末の最終報告に向けた意見調整が本格化することになります。
75歳を年齢区分に「前期」と「後期」に分ける現行の高齢者医療制度の最大の特徴は、「後期制度」の給付費には5割の公費投入があるのに対し、65~74歳層が対象の「前期制度」には公費負担が全くなく、給付費の全額が医療保険制度間の財政調整(前期高齢者の加入割合が各制度とも同一とみなして費用を分担)で賄われていることです。
国庫負担を抑制し、健保組合など被用者保険の保険料によって、高齢加入者が多い市町村国保を財政支援する点で、小泉政権(当時)の「財政構造改革」を色濃く反映した仕組みといえますが、この方式では「制度の将来的な維持は困難」との見方が関係者の間では一般的です。
06年度の高齢者医療制度創設後に、雇用・所得環境などわが国の経済・社会の構造的な変化が顕在化し、高齢者医療を支える医療保険財政が急速に悪化するなど高齢者医療制度の財政の枠組みが大きく揺らぎ始めているからです。
高齢者医療制度が施行された08年度の健保組合財政は、新制度への拠出金が前年比18.3%の大幅増となり、3060億円の赤字を計上。09年度は保険料の収入減も加わり、6150億円の巨額赤字が見込まれています。協会けんぽの財政赤字も前年度比2310億円増の4600億円へと赤字幅が拡大しています。
被用者保険側から08年度で約2.4兆円の財政支援を受ける市町村国保も同年度で2384億円の赤字。保険料収納率も88%まで落ち込んでいます。
厚生労働省はこれまでに、高齢者医療制度改革の制度体系について、現役サラリーマンの高齢者と被扶養者は被用者保険に継続加入し、それ以外の高齢者は国保制度に加入する構想を明らかにしていますが、制度の枠組みを方向づける高齢者の負担水準や財源の具体的な負担方法は明確になっていません。高齢者医療制度の改革で国保制度の役割を高めるというのであれば、少なくとも、「中間まとめ」では、国保財政安定化への財源確保の道筋は示される必要があります。
雇用や所得の動向も見逃せません。被保険者数や保険料に大きな影響を及ぼすからです。厚生労働省の国民生活基礎調査(09年)によると、年収400万円未満世帯が全体の約47%。年間所得が中位勤労者の半分以下の「貧困者割合」は約3割(08年OECDデータ)。非正規労働者割合は08年度で約34%に達します。低所得層や高齢者給付への公費拡充要請は極めて高いとみるべきでしょう。「強い社会保障」の実現には安定した財源の確保が欠かせないことを指摘しておかなくてはなりません。
]]>19世紀に流行った骨相学とは、頭蓋骨の形から脳の働きがわかるという説である。この説を最初に言い出したのが、ウィーンの医師フランツ・ガル(1758-1828)であった。
古来、脳の働きの中枢は脳室(脳の中の空洞)にあると信じられていた。ガルはそれを完全に否定して、大脳の実質にこそ中枢があるのだと言った。そこまでは正しかったのだが、大脳は精神活動に対応した27個の器官の集まりで、器官とは色、音、言語、名誉、友情、芸術、哲学、盗み、殺人、破壊、謙虚、高慢、社交、粘着など精神作用に対応する単位であり、それらが有機的に結合したものが大脳であると言った。
当然、それぞれの器官には個体差がある。それが頭蓋骨の形に現れるというのがガルの骨相説であった。頭蓋骨から人の性格や精神的素質が診断できると主張したことから、頭骨検査が大流行となり、たちまち社会的に大きな反響がおきた。秀才の頭、犯罪者の頭などが骨相学者によって診断されたのである。
骨相学は、大脳の機能局在を示唆して現代の大脳生理学の先駆けになったが、動物実験や電気刺激を使った生理学的研究で大脳の働きが明らかになっていくにつれてガルの誤りが指摘され、衰退していった。
最後にガルの名誉のために、ガルはきわめて優れた脳神経学者で、現代の大脳生理学の先駆けとなる発見をいくつも残していることを追記しておこう。それだけに人々は骨相学の過ちをなかなか見抜けなかったのである。
酒井シヅ(順天堂大学名誉教授)
]]>厚生労働省の高齢者医療制度改革会議(長妻昭厚生労働大臣主宰)は8月末にも制度改革の「中間報告」をまとめる方針ですが、新制度の枠組みづくりでは、公費負担を含め高齢者と現役世代の負担調整問題が焦点の一つになっています。政策の継続性を確保し持続可能な制度を構築するためにも、現行制度を根底から検証し、問題点に対応できる制度設計が求められています。
民主・国民新の政府与党が「年齢区分解消」など制度体系の見直しを掲げるように、現行の高齢者医療制度に対しては多くの問題点が指摘されています。制度を規定する法律本則とは別に、高齢者の保険料や一部負担金が予算措置で大幅に軽減される一方、健保組合や協会けんぽは急増する拠出金で深刻な財政危機に直面しているからです。
ただ、ここで忘れてならないのは、2006年の医療制度の改正(06~08年度に順次実施)は新しい高齢者医療制度を創設しただけではなく、高齢者医療の改革を軸に旧政管健保の公法人化(協会けんぽへの再編と都道府県単位の財政運営)、国保財政基盤の安定化、生活習慣病対策の医療保険者への義務化など幅広い改革が構想され実施に移されたことです。これらの改革によって2025年度までに約7兆円の医療費を圧縮する目標が掲げられ、現役層とのバランスに配慮して高齢者の費用負担の仕組みも大幅に見直されました。
現在、高齢者の保険料や一部負担金は国の経済政策(生活支援)の一環として、約2900億円の補正財源で軽減措置が講じられていますが、制度的には、
―などが法律で規定されています。
高齢者にとっては負担増となる施策ですが、いずれも医療費の適正化と世代間負担の透明化を目的とした改正であることは確かです。
改革会議では、これらの施策全体を篩にかける方針ですが、なかでも現役世代と高齢世代の人口比率で保険料の負担割合を見直す仕組みをどのように評価するかは、世代間・世代内の負担調整問題を含め、後期制度廃止後の制度設計
にも大きく影響する問題です。
2000年度に創設された介護保険制度では、1号被保険者(65歳以上)と2号被保険者(40~64歳層)の加入率を指標に負担割合を決定する仕組みが導入され、04年度の年金制度の改正では、被保険者数の減少や平均寿命の伸びを年金額に反映する「マクロ経済スライド」が制度化されました。
高齢者医療制度の改革問題は、高齢者の社会保障が医療、年金、介護、福祉を横断する包括的な体系が望ましいとされるなかで、これらの制度との連携をどのように実現するか。また、高齢者自身が制度に参画し、現役世代とともに制度を支える負担体系をどう構築するかが問われていると言っていいでしょう。
09年度で6千億円を超えるとみられる健保組合や協会けんぽの深刻な財政赤字が改革問題の根底にあるのは言うまでもありません。
]]>一方、西洋では紀元前5世紀に古代ギリシアのヒポクラテスが大脳は知性と関係があると述べ、プラトンも脳と心の関係に言及している。紀元前4世紀のアレクサンドリアで脳の解剖が行われ、脳から出ている神経に運動神経、知覚神経があることを突き止めている。
酒井シヅ(順天堂大学名誉教授)
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◆「五感を意識した暑さ対策を」◆
消費電力も電気代もぐ~んとアップする夏、エアコンだけに頼らないエコな暑さ対策はいかがですか。五感を使うという実にアナログで地味な方法ですが、地球環境にも家計にも優しくて、健康にもよい。しかも、自分のアイデアがフルに発揮できて、意外に楽しみながら実践できます。
日本特有の蒸し暑い夏を涼やかに乗り切るために、ぜひお試しください。
色には赤や黄色などの「暖色」、緑みの青・青・青紫の「寒色」、それ以外の「中間色」があります。同じ温度の部屋にいた場合、暖色系の部屋と寒色系の部屋で感じる体感温度には、個人差はあるものの3℃の違いがあるという報告もありますが、一般的に、見た目で、暖色は暖かさを感じさせる色、寒色は涼しさを感じさせる色といわれています。しかし、実は、色の効果は見た目だけにとどまらず、直接神経や体にも作用しています。真っ赤な部屋と真っ青な部屋で目隠しをして一定時間過ごすと、色は見えないにもかかわらず、体温や心拍数に明らかな違いが出ることがわかっています。
リビングやベッドルームのインテリア、衣服などを寒色系でまとめれば、エアコンの設定温度を下げすぎずに暑い夏を快適に過ごせるでしょう。ただし、寒色は同時に「苦い」「青臭い」というイメージにつながりやすいので、キッチンやダイニングには夏でも暖色や中間色の中の黄色よりのグリーンなどを使うのがよいといわれています。
色のほかに見た目に涼しさを演出してくれるのがガラス素材の器です。サラダや冷製の料理を盛り付けたりするのも涼しげですし、コップや皿、花瓶、金魚鉢などのお気に入りのガラス素材の器に水を張って水生植物を育てて、目のつくところに置いておくのもいいでしょう。
また、窓辺にすだれをかけて直射日光が室内に差し込むのを防ぐ昔ながらの暑さ対策がありますが、すだれの代わりにベランダや窓の外、外壁などにつる性の植物を育てて自然の緑のカーテンをつくるのも見た目にとてもさわやかで、実際に室温も下がるといわれています。
さらにもうひとつ、昔ながらの暑さ対策として打ち水があります。見た目にも涼やかですし、実際、温度を下げる効果があるといわれています。真昼の炎天下で打ち水を行うと、地面が熱せられているためすぐに水が蒸発して、かえって蒸し暑くなってしまいますから、午前中や夕方の少し気温が低めのときに行うのがよいでしょう。使用する水は、おふろの残り湯などをリサイクルしましょう。
扇風機を使って部屋に風を流すと、実際の温度よりも体感温度が下がり涼しく感じます。寝苦しい夜にも、扇風機の風が直接体に当たらないように注意して、扇風機を天上のほうに向けて首振りにし、いちばん弱い風にセットしておくと、寝苦しさがだいぶ和らぎます。睡眠中にかく寝汗なども風があると汗が蒸発しやすくなります。
外出するときは扇子などを持ち歩くのもよいでしょう。
直接肌に触れる衣服や寝具などは、麻や綿などの涼しい素材がお勧めです。麻は繊維の中が中空なため吸水性がよく乾きやすいので、いつでもさらさらした感じを保ちますし、綿は肌触りが柔らかく吸水性に優れています。
寝具は肌と密着すると通気性が悪く蒸れて暑く感じますから、肌に触れる面積が少なく熱を逃しやすい麻のベッドパッドなどを利用してみましょう。
足裏のひんやりした感触が気持ちがよいのが畳やゴザです。素材のい草には小さなあなが無数にあって、このあなが汗や湿気を吸い取るため素肌が触れてもべとつかずさらさらした感じが続きます。
夏の風物詩といえば風鈴。その涼やかな音色で、暑い夏をさわやかに演出してくれます。素材や形、色、音色などさまざまなものがありますから、好みのものを探してみましょう。しかし、風鈴の音は密集した住宅地や集合住宅では生活騒音に分類され、時と場合によっては安眠妨害や近所迷惑にもなりかねないので、ご近所への配慮を忘れないようにしましょう。
風にそよぐ木の葉のさやぎも涼しさを演出してくれるもののひとつです。庭やベランダに高木や笹など葉音のたちやすい植物を植えたり置いたりしてみましょう。
トマト、きゅうり、なす、かぼちゃ、ピーマン、パプリカ、枝豆などの、夏に収穫される野菜は色が鮮やかで濃く、水分を多く含んでいるのが特長です。汗をかいて体内の熱を下げてくれる作用のあるものが多く、また、カロテン、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類も多く含まれています。夏ばて防止にとても効果がありますから、栄養素がぎゅっと詰まった夏野菜をたっぷりとって、暑い夏を乗り切る体力を保ちましょう。
ミント系やレモン、グレープフルーツなどのかんきつ系の香りは、さわやかな清涼感で涼しさを演出してくれます。お部屋に、シュッと香りのミストをひと吹きして、おしゃれな暑さ対策を楽しみましょう。
いま、省エネやエコなどが地球環境を守るための重要なキーワードとなっています。身近な生活のなかで手軽に地球環境の未来に貢献できることはないか、と考えている人も少なくないのではないでしょうか。エアコンなどがなかったころの日本で実践されてきた昔ながらの暑さ対策、そんな生活の知恵をいまこそ見直してみるときかもしれません。
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原稿:社会保険研究所ⓒ
食中毒は、基本的な予防法をきちんと守れば防ぐことができます。一人ひとりが家庭での食中毒予防についての知識を高め、身近なところから実践しましょう。
食中毒は年間を通じて発生していますが、気温や湿度が高く細菌が発生・増殖しやすい6~8月は、カンピロバクターやサルモネラ、O-157などの細菌を原因とする食中毒が、特に多く発生する時期です。また、食中毒というと大部分が飲食店での食事が原因と思われがちですが、家庭での食事が原因の場合も少なくなく、肉や魚などの生鮮食品以外に、総菜や弁当などの調理済み食品も原因となる場合があります。
「菌をつけない、菌を増やさない、殺菌する」が食中毒予防の三原則。食中毒を起こす細菌やウイルスはいたるところに存在していることを意識し、日ごろから食中毒予防を心がけましょう。
・肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮なものを選ぶ。消費期限のあるものは、必ず確認。
・購入後は、肉や魚などの汁が漏れないように、それぞれ別のビニール袋などに分ける。
・冷凍や冷蔵などの温度管理が必要なものは買い物の最後に買い、買ったらまっすぐ帰宅。
・冷凍・冷蔵の必要なものは、持ち帰ったらすぐ冷凍庫や冷蔵庫へ。
・冷凍庫・冷蔵庫の詰めすぎは冷却効率を低下させてしまう。7割程度が目安。
・冷凍庫は-15℃以下、冷蔵庫は10℃以下が目安。冷凍しても細菌が死ぬわけではないので、過信せず早めに使い切る。
・肉や魚はビニール袋や容器に入れ、ほかの食品に肉汁などがかからないように。
・流し台の下に食品を保存するときは水漏れなどに注意し、床には直接置かない。
『家庭でできる食中毒予防の6つのポイント』(厚生労働省)
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後期高齢者医療制度の廃止に伴う新たな制度の検討が「高齢者医療制度改革会議」(長妻昭厚生労働大臣が主宰)で進められています。75歳の年齢区分を解消し、新制度の2013年度実施をめざす方針ですが、高齢者の保険料水準や財源構成をどうするかなど難問が山積。緊急課題となっている若年層の負担緩和を含め、夏までにどこまで具体的な改革方向を示せるかが焦点になっています。
現行の高齢者医療制度は10年に及ぶ議論を経て2008年4月に発足しました。鳩山政権が抜本改革を公約に掲げるように、「前期」「後期」に分ける制度の在り方や運営組織の責任体制など多くの課題があげられていますが、制度の持続性との関連で早急な対応を求められているのが財源問題です。
高齢者医療制度の給付費は、「前期制度」についてはその全額を医療保険各制度間の財政調整財源で賄い、「後期制度」は5割を公費、残りを高齢者自身の保険料(約1割)と若年層の支援金で分担しています。医療費が高額な後期制度に公費を重点投入する一方、前期制度については医療保険者間の財政調整幅の拡大によって財源を確保する仕組みが選択されました。
65歳~74歳層の加入率が高い市町村国保への被用者保険からの保険料の移転額は10年度で約2.4兆円。前期制度の財源負担方法が被用者保険財政に深刻な影響を及ぼしていることは確かです。
新制度が発足した08年度の健保組合の拠出金は前年度比18.3%(4100億円)の大幅増となり、単年度で3060億円の赤字を計上。10年度は医療費増に保険料の収入減も加わり、6605億円の巨額赤字が見込まれています。保険料収入に占める高齢者医療制度への拠出金割合は43.54%。拠出金割合が5割を超える組合が358組合に達することからみても、現行制度の負担構造には大きな問題点があることが読み取れます。
高齢者医療制度の新たな枠組みを検討する「高齢者医療制度改革会議」は、長妻厚労相が示した「年齢で区切らない」「広域化の方向につながる」―など6項目の原則に沿って議論が進められていますが、この会議で健保連が提案しているのが、公費投入の拡充を前提に65歳以上を対象とする制度の創設です。
健保連の提案は、
―などが骨子。年金制度や介護保険制度の給付開始年齢との整合性に配慮しているのが大きな特徴です。
現在、わが国の65歳以上の人口比率は22.1%。65歳以上の医療費割合は07年度で約52%、15年度には3分の2を占めることになります。急速に進む高齢化と医療費増にいかに対応していくか。その回答を求められているのが制度改革問題だと言っていいでしょう。
]]>ところで、脳の中には面白い名称がたくさんある。海馬はその一つで、形がタツノオトシゴに似ているからといわれるが、海馬の学名はhippocampus、これを訳した名前である。元の名称をつけたのはイタリアの解剖学者アランチオ(1530-89)だといわれる。
この時代は学名にギリシャ・ローマ神話から取ることが多かった。おそらくアランチオは神話の中で海神が乗る車を引く動物hippocampusからつけたのだろう。ヒポカンプスは前半身が馬で、後半身が怪魚の怪獣である。海馬は大脳半球の側脳室の下角の壁に沿って隆起しているが、その形が似ているのだろう。
『徹底図解 脳のしくみ』新星出版社発行 イラスト浅野仁志
酒井シヅ(順天堂大学名誉教授)
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ひと昔前には、「夏、真っ黒に日焼けした子どもは、冬、かぜをひかない」などといわれたものですが、紫外線による日焼けが、シミ、シワなどの肌の老化の原因になるばかりでなく、長年紫外線を浴び続けることによって皮膚がんや白内障を引き起こすリスクがあることや、紫外線が皮膚の免疫反応を抑えてしまうことがわかり、いまや、「できるだけ浴びないようにすること」が世界的な常識となっています。
紫外線(UV:ultraviolet)は、波長の長いほうからUV-A、UV-B、UV-Cの3種類に分けられています。波長が短いほど健康などへの影響が強くなります。
UV-Cは、人体にとって影響が強く、とても危険です。しかし、大気(オゾン層、空気分子、雲など)で吸収されて地表には到達しません。
UV-Bは、ほとんどは大気で吸収され、ほんの一部が地表へ到達します。日焼けを起こす力ではUV-Aの600~1,000倍といわれ、肌の表皮に入って、肌が赤く炎症を起こしたり水ぶくれを起こしたりなどのいわゆる「日焼け(サンバーン)」の原因となったり、細胞の核内にあるDNAに傷をつけ、シミやシワ、皮膚がんの原因になります。
地上に達する紫外線のほとんどはUV-Aです。UV-Aは、UV-Bほど有害ではありませんが、皮膚のさらに深い真皮の部分まで入り、長期間のダメージの蓄積によるシミやシワ、たるみなどの光老化や皮膚がんの原因になります。
日焼けをしてからのケアでは、その痛みを和らげることはできても、皮膚の老化などの長期的な予防効果はほとんど得られません。まずは、できるだけ紫外線を浴びない対策を第一に心がけましょう。
外出やスポーツなどの戸外での活動はできるだけ紫外線の強い時間帯を避ける、移動のときなども日陰を選んで歩く、日傘をさす、帽子をかぶる、サングラスをかけるなど直射日光を避ける、できれば長袖の衣服を着用することを心がけましょう。衣類は、色はより濃いほうが、生地はより厚いほうが紫外線の透過率は低くなります。UV加工がされているものは色や厚さに関係なく紫外線をカットしてくれます。
顔や首、手などの衣類で覆うことのできない部分には日焼け止めを塗るのが効果的です。
日焼け止めには、UV-AとUV-Bの2つの紫外線を防ぐ効果のあるものが一般的ですが、防ぐ効果の程度の目安として、SPFやPAの表示があります。
SPF(sun protection factor)は、UV-Bを防ぐ効果を2~50までの数値で表しています。通常、なにもつけない状態で夏に20分間紫外線に当たると翌日赤みがでる人が、たとえばSPF30の日焼け止めを塗った場合、20(分)×30(SPF)=600(分)から、600分間紫外線に当たって初めて翌日赤みがでるという意味です。
PA(protection of UVA)は、UV-Aを防ぐことを目的に、その効果の目安を記号(+)の数で表します。PA+は「UV-A防止効果がある」、PA++は「UV-A防止効果がかなりある」、PA+++は「UV-A防止効果が非常にある」です。
日焼け止めの肌への影響は、SPFやPAの値が上がるほど強い刺激となりますから、目的に合わせて、賢く日焼け止めを選びましょう。
| SPF | PA | 用途の例 |
| ~20 | + | 散歩、買い物などの日常生活 |
| 10~30 | ++ | 屋外での軽いスポーツ、レジャーなど |
| 30~50 | ++~+++ | 炎天下でのレジャー、リゾート地でのマリンスポーツなど |
| 50~ | +++ | 非常に紫外線の強い場所や紫外線に過敏な人など |
(参考資料:日本化粧品工業連合会)
日焼け止めには、紫外線を肌の表面で反射して日焼けを防ぐ「紫外線散乱剤」(UV-AからUV-Bまで広く遮断)と、紫外線を肌の表面で吸収することで化学変化を起こし紫外線を防止する「紫外線吸収剤」(UV-Bをよく吸収するが、UV-Aを効果的に吸収する成分は限られている)の2種類のタイプがあります。強い遮断力が欲しいときは吸収剤が入っているほうがより効果がありますが、吸収剤の化学変化に肌が負けてまれにかぶれを起こすことがあります。吸収剤でかゆみや赤みを生じたら、ノンケミカルや吸収剤未使用と表示されている散乱剤だけのものにしてみましょう。
PAとSPFの値は、日焼け止めを1cm2当たり2mgずつ皮膚に塗ったときの効果の度合いを示しています。実際にこの量を塗ると肌が白っぽくなることもあるため、たいていの人はこの量より薄く塗っているというのが現状ですが、塗る量が少なければ期待どおりの効果は得られません。また、水や汗で流れたり、衣服が顔に触れたりして取れてしまうこともあります。日焼け止めのSPFやPAの数値を過信したり、一度、塗ったからと安心していると、思わぬ日焼けをしてしまいます。効果を持続させるためには、2~3時間置きにまめに塗り直すことが大切です。
特に、額、鼻、頬は日焼けしやすい部位ですから、丁寧に重ね塗りしましょう。また、耳の後ろ、首筋、肩、手の甲などの塗り忘れしやすい部位もしっかりと。唇にはUVカット効果のあるリップクリームを使うとよいでしょう。
日焼け止めを塗ったままにしておくと、かえってシミや小ジワなどの肌荒れの原因になります。寝る前にはクレンジングなどできちんと洗い落とすことが重要です。特にウォータープルーフなどの水対応の日焼け止めには、落ちにくいものは専用のクレンジングを使ってしっかり洗い落として手入れしましょう。
『紫外線 環境保健マニュアル2008』(環境省)
『上手に選ぼう 日焼け止め化粧品』(東京都福祉保健局健康安全部食品医薬品情報係)
発行:ティーペック株式会社
原稿・社会保険研究所ⓒ
長妻昭厚労相が主宰する「高齢者医療制度改革会議」で後期高齢者医療制度の廃止に伴う新たな制度の検討が進められるなか、高齢者医療費拠出金と景気低迷による保険料の収入減で2010年度の健保組合財政は6605億円の巨額赤字となる見通しであることが健保連の「10年度予算集計」(早期集計)で明らかになりました。高齢化で増加が避けられない医療費にどう対応し、限界が見え始めた現役層の負担をいかに軽減するかが国の重要な政策課題に浮かびあがっています。
調査は全国の1462組合のうち、1313組合の集計結果から全体を推計しました。健保組合全体の赤字額は6605億円で、昨年度予算(6207億円)と比べて398億円の増。保険給付費が前年度比1.99%増加する一方、被保険者の給与や賞与の落ち込みなどで経常収入が2.20%減ったのが要因。
全組合の平均保険料率は76.16‰(パーミル)で1.87‰の増。収入減を保険料率の引き上げで補填する組合は集計対象組合の26.8%にあたる352組合。これらの組合は平均8.54‰の大幅な料率引き上げが見込まれています。
08年度の高齢者医療制度の発足で急増し、組合財政を圧迫している高齢者医療制度への10年度拠出金は総額で2兆6224億円。保険料収入に占める高齢者医療制度への拠出金割合は43.6%。
問題は、この割合が今後さらに高まり、5年後には全組合平均で5割の水準を超えると予測されていることです。後期高齢者医療制度とは異なり、前期高齢者医療制度の給付費には公費投入がないなど財源構造の問題点が指摘されていますが、保険制度の在り方からみても、保険料の半分以上が自らの加入者以外に使われる仕組みには大きな歪みがあると言わざるを得ません。
高齢者医療費の負担方法については、制度発足時から前期制度への公費投入や、拠出金の分担方法の見直し問題などが提起されてきましたが、政権公約に「後期高齢者医療制度の廃止」を掲げる現政権でも、長妻厚労相主宰の高齢者医療制度改革会議でこれら財源問題を含めた制度再構築の検討が進められています。
政府は年内にも「後期制度」廃止後の制度設計を終え、年明けの通常国会に法案を提出する方針ですが、制度改革で大切なのは、高齢者が安心して医療を受けることができ、制度の支え手である現役世代の負担が過重にならない仕組みとすることです。こうしたなかで健保連が提案しているのが、原則、65歳以上の高齢者全員をカバーする制度の創設です。
現役層に過重な拠出金負担を軽減するために、新制度の財源には給付費の5割程度の公費を投入。残りの5割は高齢者の保険料(1割程度)と若年者の支援金(4割程度)で賄い、若年者の負担は被用者保険と国保制度の加入者数で按分します。年金制度や介護保険制度との整合性が確保できるほか、制度が複雑でない分、国民にも分りやすいというのが健保連の考え方です。
江戸時代から続く腹帯の習慣は日本固有のもので、欧米ではむかしから妊娠後期にコルセットを使っていたから、妊婦帯でも問題はないだろう。しかしいま、古来の風俗が、便利で効率的なものに置き換わって消えようとしているのに直面して複雑な気持ちである。
腹帯の伝説は古く、最初に用いたのは神功皇后だという。懐妊中の皇后に鎧が役立たず、石を挟んだ帯を締めて出陣。無事に帰還して応仁天皇を出産したという故事にならって、歴代の皇后の着帯が始まったという。はじめ着帯は高貴な身分の人の儀式であった。源氏物語にも腹帯を着ける場面があるが、このときの腹帯は絹布であった。腹帯が木綿に代わるのは江戸時代である。この頃になると庶民の間にも腹帯着用は広まり、安産祈願に神社に詣で、そこで祈祷した晒しを貰って、妊娠5カ月目の戌の日に腹帯を巻く習慣がひろまった。その日を帯祝いといい、親類が招かれ、祝宴が開かれ、妊娠がはじめておおやけにされた。腹帯を着けるのが妊娠5カ月、戌の日になったのは江戸後期である。犬の出産が軽いというのが理由であり、マタニティ衣類のメーカーはいまも、妊婦帯を着け始める日を妊娠5カ月の戌の日にと奨めている。出産という大事には、腹帯の形は変わっても縁起を担ぐ伝統は続いているようだ。
酒井 シヅ(順天堂大学名誉教授)
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近年日本では、20~30歳代女性の子宮頸がん発症率が増加傾向にあります。欧米を中心とした多くの国々では、子宮頸がんの原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防できるワクチン接種がすでに行われていましたが、昨年日本でも承認され、医療機関での接種が開始されました。これにより、将来、子宮頸がんの発生を70%減少させることが期待されています。今回はこの予防ワクチンのことを中心にお話したいと思います。
子宮がんは、子宮頸部(入り口)にできる「子宮頸がん」と、子宮体部にできる「子宮体がん」に区別されます。子宮頸がんは、初期の頃は無症状のことが多く、不正出血やおりものの増加などに気づいたときには、すでに進行していたということも少なくありません。しかし、無症状のうちに定期検診などで早期発見できた場合は、完治の可能性が高くなります。
HPVは皮膚や粘膜に感染し、イボをつくることがあるごくありふれたウイルスで、100種類以上のタイプがあります。そのうち子宮頸がんに関連しているものがハイリスク型と呼ばれ、一般女性の30~50%は生涯に一度は感染するとも言われています。感染したうちの90%は自然にウイルスが消滅、残りの10%以下が細胞に変化を起こし異型性の状態になります。異型性もほとんどは自然に治りますが、10%以下でがん化します。
2009年10月に、子宮頸がんの原因の70~80%を占めるHPV16型と18型に対するワクチンが日本でも承認され、12月に「サーバリックス」として発売、すでに医療機関で自費での接種が開始されています。
※公費補助を決定した自治体も一部あります。(先進国の多くは公費負担で接種が行なわれています。)
日本では現在、年間10,000人以上が新たに子宮頸がんに罹患し、約3,500人が死亡していると推定されています。子宮頸がんは女性の命はもちろんのこと、妊娠や出産の可能性を奪ってしまうことがある病気です。しかし、ワクチン接種によって予防が可能であり、また検診で早期発見された場合には完治可能な病気でもあります。子宮頸がんへの関心を持ち、1年に1度は検診を受ける習慣をつけ、またワクチン接種についても検討しましょう。
病気が見える 9婦人科・乳腺外科 株式会社メディックメディア
臨床検査データブック2009-2010 医学書院
T-PEC保健医療情報センター 発行
監修:順天堂大学医学部附属順天堂医院 小児外科
准教授 高橋 翼
今国会に提案されている国保法等の一部改正案の扱いが注目されています。市町村国保や協会けんぽの財政基盤強化策と合わせ、75歳以上層が加入する後期高齢者医療制度の支援金算定方法の見直し、同制度に対する国庫負担の削減など医療保険や高齢者医療の在り方にも影響する改正案が一括して提案されているからです。今後の制度の枠組みを見極めるためにも、国会には慎重な法案の審議が求められます。
法案の正式名称は「医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部改正法案」。国保法、健保法、高齢者医療確保法を中心に改正案を構成。75歳以上高齢者の保険料軽減措置や高校生世代への短期被保険者証の交付など多岐にわたりますが、最大の狙いは医療費増と経済不況で厳しい財政運営が続く市町村国保と協会けんぽ(旧政管健保)に対する当面の財政措置です。
自営業者や年金受給者などが加入する国民健康保険の2008年度の実質赤字は約2380億円。一般会計の補填で収支の帳尻を合わせているのが実態。保険料納付率も88・35%まで落ち込んでいます。一方、旧政管健保から事業を引き継いだ協会けんぽも08年度に2290億円の赤字を計上し、09年度見込みでは約6000億円まで赤字額が拡大。借入金約4500億円の返済を含め、10年度には保険料率を9.9%(現在8.2%)まで引き上げなくてはならない事態に追い込まれています。
法改正で政府が予定する財政支援策の柱は、市町村国保と協会けんぽの保険料軽減措置。09年度で終了する市町村国保の財政基盤強化策を継続(公費約2500億円を投入)し、1世帯当たり約1万2500円の保険料負担を軽減。協会けんぽについては、国庫補助率16・4%(現在13%)への引き上げや借入金の償還期間の延長などで10年度の全国平均の保険料率を9.34%に抑制する計画です。
医療保険財政の現状からみて、これらが急を要する施策であることは確かですが、問題はその財源の捻出策。公費による市町村国保への支援とは異なり、協会けんぽに対する支援は財源の50%を健保組合と共済組合とに負担を転嫁する案が提案されているからです。
政府の提案は、被用者保険の後期高齢者支援金総額の3分の1を総報酬割に変更し、後期支援金にかかる国庫負担610億円(満年度910億円)を削減。削減分を健保組合などに「肩代わり」させ、協会けんぽの国庫補助率の引き上げ財源に充てるというものです。
高齢者医療制度の財源負担は関係者の10年に及ぶ議論を経て制度化され、協会けんぽの国庫補助率も「16.4~20%の範囲」で法定されている仕組みです。協会けんぽ、国保制度ともに広範な財政対策が必要なことは確かですが、国庫補助や費用負担の在り方は制度の根幹に関わる問題です。また、支援を求められる健保組合の財政は09年度見込みで6150億円の赤字。医療保険財政の現状や制度の枠組みへの影響にも配慮した法案審議が求められています。
]]>さらに年を取ると、誰でも眼のレンズが多かれ少なかれ濁ってくる。白内障である。その昔は白内障で盲目になった。しかし現代は、眼科の素晴らしい発達のお陰で、濁ったレンズを眼内レンズと取り替える手術が行われる。手術を終えて眼帯を外したとき、ほとんど例外なく、世の中がこんなに明るかったかと驚く。
今では日帰り手術ができるようになったが、数十年前でもやっかいな手術であった。白内障手術のはじまりは、古代インドまでさかのぼる。はじめは白く濁ったレンズを針で突いて、眼内に墜下させた。その方法は平安時代に伝わっていたが、うまくいかなかった。南北朝になって薬師如来のお告げを受けた尾張の寺僧が成功した。日本最初の眼科医馬島清眼禅師である。しかし瞳孔に針を刺したとき、瞳孔が縮小してしまい、うまくいかない。瞳孔を拡げる散瞳薬を日本へ伝えたのはシーボルトであった。シーボルトの手術を見た幕府の眼科医土生玄碩は散瞳薬を熱望した。それと交換に将軍から下賜された葵の紋がついた羽織を贈った。それがシーボルトの帰国のときに露見して、玄碩は捕えられ、財産没収、終身禁固刑になったのだった。
病の草紙に描かれた目医者、この手術の後、患者は目が見えなくなった
酒井 シヅ(順天堂大学名誉教授)
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