協会けんぽの後期高齢者支援金を減額し、健保組合などに肩代わりを求める「負担転嫁案」が2010年度の政府予算案に盛り込まれました。医療保険財政が揺らぐなかで、財政のさらなる不安定要因になりかねない国庫財源のつけ回し。政策の質だけでなく、政権与党の政治姿勢が問われています。
現在、75歳以上の後期高齢者医療制度の財源は、保険給付費の5割を公費、残りを現役世代と高齢者自身が保険料の形で負担しています。
予算編成上の対応で問題となっているのは、これとは別に、協会けんぽの後期高齢者支援金に補助されている16・4%の国庫(約2700億円)の扱い。この国庫補助金を削減し、健保組合と共済組合に肩代わりさせる案が政府から唐突に示されたからです。
政府の「肩代わり案」は、
―などを内容とし、このために必要となる制度改正案を今通常国会に提案するというものです。
ここで指摘しておかなくてはならないのは、社会保障制度、とりわけ給付と負担を伴う社会保険制度は費用負担者の合意を前提に成立しているということです。高齢者医療制度の全体的な見直し問題は、すでに健保連や市長会、日本経団連など関係者で構成する「高齢者医療制度改革会議」(厚生労働大臣が主宰)で本格的な審議が始まっています。高齢者医療制度の支援金など制度の根幹に関わる問題は、政府が一方的に改正内容を決めるのではなく、関係者の十分な議論を経て結論を出すべきだというのが健保連の考え方です。
今回の「肩代わり」問題に関しては、政府の協会けんぽに対する財政責任も見逃せません。協会けんぽは、旧政管健保の事業を引き継ぎ、08年10月から現在の都道府県単位の運営体に移行しています。制度の効率化と保険者機能の強化を目的に制度の再編が行われましたが、同時に、協会けんぽは被用者保険の最終的な受け皿としての役割も担っています。
その意味で、協会けんぽに対する国の安定的な財政支援が欠かせませんが、国の給付費への現在の補助率は13%。1992年から法定補助率(16.4~20%)を下回る状態が続いています。法的な財政支援の枠組みがありながら、補助率の引き上げを放置してきた政府の責任は決して軽くはありません。健保組合などに支援財源の肩代わりを求める前に、政府自らの責任が問われて然るべきでしょう。
「6150億円の赤字に苦しむ健保組合が赤字額6000億円の協会けんぽを財政支援する」―政策ロジックに欠ける理不尽な政策が実現するようなことがあってはなりません。健保組合・健保連の組織を挙げた活動が正念場を迎えます。
]]>茶のサンプルを絹袋に入れておいたところ、顧客がそれをポットの熱湯に入れて飲んでしまった。それをヒントに、1回分を絹袋に入れて売り出し、大当たりしたのである。
日本では、漢方薬を袋に入れて、熱湯で振り出す薬がある。その歴史は古く、戦国時代にまでさかのぼる。その頃、戦場で金瘡医(刀傷を治す医者)が活躍した。大量に出血する傷の手当てを得意とした金瘡医は戦場から離れると、産科医となった。
その1人、京都の松永弾正(1510−1577)が産前産後に飲ませた薬が振り出し薬であったと江戸時代の医書に記されている。それは、安永湯とも長栄湯とも呼ばれ、のちには、「山田の振り薬」として昭和になっても使われた。その系統に属するものに、実母散、竜王湯などがある。
もうひとつ有名な振り出し薬に「俵屋振出し風薬」がある。いまも京都東洞院通りにある古沢松緑堂に伝わる風邪薬である。延宝元年(1673)創業というから歴史ある風邪薬である。よく効いたらしい。江戸川柳に「俵屋のつぎにかかるは藪医なり」「二、三俵のむとぬけてくはやり風」とある。医者にかかるより効いた薬であった。
酒井シヅ(順天堂大学名誉教授)
]]>
関節リウマチは膠原病の中でいちばん患者さんが多く、全国で約70万人の患者さんがいると推定されています。男女比は1対4、つまり患者さんの8割が女性です。これまで、リウマチは治らない病気と言われてきました。しかし現在では早期に発見して適切な治療を行うことで進行を食い止めることができるようになってきています。膠原病の中でも、もっとも研究が進んでいる病気の一つで、新薬も次々に開発されています。今回は、「早期発見・早期治療」の大切さが指摘されている関節リウマチについてお話したいと思います。
関節リウマチは、膠原病などの自己免疫疾患のひとつとして考えられています。本来は体を守る仕組みである免疫システムに何らかの異常をきたし、自己の細胞を攻撃することにより発症すると言われています。そのため、関節に炎症が起こり、腫れや強い痛みを生じる病気です。放置すると、軟骨や骨が破壊され関節が変形する慢性の炎症性疾患です。
「遺伝的要因」に、その人が置かれている「環境的要因」が加わって発症するという考えが主流となっています。家族内で発症することもありますが、一般的にはそれほど強い遺伝性はないと考えられています。リウマチに罹りやすい体質や要因があり、それにウイルスや化学物質、妊娠・出産、けがや強度のストレスなどの因子が複雑にからみ合って発症するのではないかと考えられています。
初期の段階では急激に関節の痛みが始まることは少なく、熱っぽい、なんとなく体がだるい、朝起きた時に関節にこわばりを感じるといった、はっきりしない全身性の症状が現れることが多く、その後次第に、朝起きた時に動作がしづらい、左右対称に関節が痛む・腫れてくるといった症状が強くなります。関節症状は、指などの小さな関節から始まり、徐々に肘・膝などの大きな関節に広がっていくことが多いとされています。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性的に経過します。天候に左右されることが多く、暖かく晴れた天気が続くときは軽く、天気が崩れ出す前や雨の日、寒い日には強くなります。夏でも冷房の風が直接関節部にあたることなどで関節痛が強くなります。
病気が進行すると、骨や軟骨が破壊され関節が変形し、関節の可動域が狭くなります。肘の外側や後頭部、腰骨の上など圧迫が加わりやすい部位の皮下にしこりを生じることがあり、リウマトイド結節(皮下結節)とよばれています。関節症状以外にも、浮腫、倦怠感、食欲低下、体重減少、皮下出血、眼の乾燥症状などがあらわれます。また、骨粗鬆症、間質性肺炎、肺線維症、心膜炎、血管炎、アミロイドーシス、シェーグレン症候群などの病気を合併することがあります。
最初の兆候を見逃さずに早期発見し、効果的な治療を行うことがとても大切になります。
関節リウマチには決定的な診断の決め手がなく初期での診断が難しい病気です。まずは患者様の自覚症状の訴えを医師が正確に把握することが大切になってきます。適切な診断、治療を受けるためには、自覚症状のチェックを行い受診の際には正しく情報を伝えることが重要になります。自覚症状の他に、採血検査・尿検査・レントゲン・関節液等の検査を行い、総合的にみて診断します。
治療には、薬物療法、手術療法、リハビリテーション、血將交換、免疫吸着療法、白血球除去療法などがあります。しかし昨今、有効性のきわめて高い治療薬(生物的製剤)が出現してきたことから、薬物療法がリウマチ治療の主体となっています。 主な薬剤は、非ステロイド系抗炎症薬・抗リウマチ薬・ステロイド・生物的製剤の4種類があります。以前は、関節リウマチは発病から10年程で関節変形が認められることから、関節破壊はこの次期に起こると考えられていました。しかし、研究により発病2~3年以内に骨びらんが急速に増加し、その後も生涯にわたって増加し続けることが判明しました。よって関節破壊を抑制するためには、その進行スピードが最も速い早期の治療が指摘されるようになり、「早期発見・早期治療」が大切という考え方にかわりました。
関節リウマチの薬物療法も手術療法も日々進歩しています。今の状態をあきらめず、医師の診断に基づく治療薬をきちんと服用し続けることが、症状を改善するいちばんの近道です。
食事についてはこれはいけない、これは食べた方が良いという食品はありませんのでバランスよくいろいろなものをとりましょう。太ると関節に負担がかかりますので、体重管理が大切になります。関節リウマチになると、健康な方より貧血や骨粗鬆症になりやすいので鉄分やカルシウムを十分に摂るようにしましょう。鉄分の吸収を助けるビタミンC、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも積極的にとるとよいでしょう。運動は適度な運動は関節や骨に良い効果がありますが、炎症のある関節に無理な力をかけることは避けましょう。運動量の目安ですが、次の日に明らかに「痛くなった」「腫れた」ということがあれば、運動のやりすぎが考えられます。
その他の注意事項としては、タバコは一般的にもよいことはありませんが、関節リウマチになってからの喫煙は症状が悪化とするという報告もあります。禁煙を心がけましょう。アルコールは一般的に炎症を悪化させます。過度の飲酒は慎まれたほうがよいでしょう。
標準整形外科学 第10版 医学書院
内科学 第九版 朝倉書店
いきなり名医!関節リウマチは治せる時代に 日本医事新報社
T-PEC保健医療情報センター 発行
監修:救急救命東京研修所
教授 名倉 節
新年おめでとうございます。
今年の干支は寅。高齢者医療制度の抜本改革が重要課題となるなかで、これとは全く別に、協会けんぽの高齢者医療費支援金を減額し、減額分を健保組合などが負担する「肩代わり案」が昨年の予算編成過程で厚生労働省から示されました。医療保険の枠組み全体への目配りを欠いた唐突な施策と言わざるを得ません。健保連は撤回活動とともに、高齢者医療の安定的な財源確保を政府に強く求めていく方針です。
協会けんぽに対する財政救済措置は、
―など。
支援金減額は、後期高齢者医療制度の支援金算定方法を1人当たり定額制から報酬比例に切り替えることによって捻出します。
確かに協会けんぽの財政は厳しく、09年度見込みで6000億円の赤字。
しかし、負担を求められる健保組合の財政はさらに深刻で、保険料の収入減を見込むと同年度の赤字額は7000億円の巨額に達する見通しです。
ここで見逃してはならないのは、協会けんぽ、健保組合ともに財政悪化の要因が高齢者医療費の拠出金にあることです。5割の公費がある後期制度に対し、前期制度の給付費には公費負担が全くありません。この仕組みが医療保険財政に深刻な影響を及ぼしていることは間違いありません。
「肩代わり案」の最大の問題点は、公費財源の在り方など基本問題の議論を抜きに、高齢者医療費の負担調整案が突然提起されたことです。長妻昭厚労相は厚生労働委員会などで、公費割合の拡大の必要性に言及していたはずです。
厚労相が示す方針と後期高齢者支援金からの国庫撤退はどこで噛み合うのか。
保険財政への影響を考えれば、„調整不足"で済ませられる問題ではありません。
こうした予算編成上の問題とともに、「肩代わり案」には
―など整理すべき多くの課題が残されています。
皆さんが本紙を手にする時にこの問題がどのような方向にあるか、政府の医療政策の„質"にかかわる重要な問題です。理不尽な制度改正の提案には健保連は全力で阻止をめざします。健保組合加入者3000万人の理解と支持は健保組合・健保連の組織活動の源泉です。
「虎に翼」―この諺を合言葉に健保連は向こう1年間の政策活動に取り組みます。
]]>大正時代はウイルスがまだ発見されていないために原因の特定ができなかったが、スペイン風邪の流行地にブタ・インフルエンザが流行していたことなどから、スペイン風邪も新型インフルエンザのウイルスH1N1と同じ系統であっただろうと推測されている。
スペイン風邪が日本国内で流行したのは大正7年から9年にかけて。最初に発生したのは、大正7年9月末であった。それから各地に広がり、たくさんの感染者をだして、同年末には終息したかにみえた。
ところが、翌8年12月から9年にかけて再び流行が見られた。それを「後流行」と呼び、7年の流行を「前流行」と呼んだが、「前流行」と「後流行」の症状に若干の違いがあった上、流行の仕方が違った。速水融の『スペイン・インフルエンザ』によると、「前流行」では全人口の4割が罹患し、死亡率は患者1000人につき11人強であったが、「後流行」では感染率は人口の4パーセントで、罹患者の死亡率は1000人に付き53人弱であった。死亡者数は感染率が低いために少なかったが、重症化した率が高かったのである。
現代の医療事情は大正時代と比べものにならないが、新型インフルエンザのこれからの流行は油断ならないかもしれない。
スペイン風邪では、人気劇作家島村抱月が亡くなり、それを悲しんだ人気女優で愛人松井須磨子が後追い自殺をした事から、スペイン風邪は強い印象を人びとに与え続けたのであった。
しかし、それよりどうすれば感染しなかったのかなど医学的な情報が欲しいのだが、この頃、医学界のインフルエンザへの関心は低く、残された記録は少ない。
酒井シヅ(順天堂大学名誉教授)
血圧が高い人にとって寒い冬は少し注意が必要な季節です。寒くなると体温を逃がさないように血管が収縮するため血圧が上がりやすくなります。その他運動不足や忘年会・新年会など飲酒の機会が増えることも、血圧をあげる要因になります。寒さを感じたり冷たい水にさわったりした時など、血管は収縮し血圧は上がります。正常血圧の人はそれほど影響ありませんが、高血圧の人は血圧が大変高く上がりますので次のような状況では注意が必要です。
また、冬は運動不足になりがちですが、運動が不足することで、体重が増えることも血圧を上げる要因となります。その他忘年会や新年会など飲酒の機会も増えます。適量のアルコールは血行がよくなりリラックス効果もあるため、むしろ血圧を下げてくれます。しかし、大量に摂取すると血管が収縮し血圧が上ります。特に二次会などはしご酒を行うと深酒に冬の冷気も加わり大変危険です。
高血圧の治療の目的は、血圧を下げることそのものでなく、その先にある脳卒中や心疾患を防ぐことにあります。日常生活の改善を心がけ、高血圧の予防につとめながら寒い冬を乗り切りましょう。
標準循環器病学 医学書院
今日の治療指針2009 医学書院
厚生労働省HP http://www.mhlw.go.jp/
T-PEC保健医療情報センター 発行
監修:救急救命東京研修所
教授 名倉 節
理事長 山田利雄
あけましておめでとうございます。
被保険者ならびにご家族のみなさまにおかれましては、すこやかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。また、平素より当健康保険組合の事業運営に関しまして、格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
わが国は、急速に高齢化が進行し、それに伴い国民医療費の増加が続いています。2008年4月に新しい高齢者医療制度がスタートしたものの、健康保険組合にとりましては、これへの支援金・納付金として過重な負担が課せられたことにより財政は一段と厳しさを増しております。健康保険組合連合会(健保連)が公表した2008年度の健康保険組合全体の決算は、前年度比18.3%増の3,060億円という大幅な赤字となりました。さらに、2009年度の予算においても、支援金・納付金の負担が一層重くなり6,150億円という巨額な赤字が見込まれており、9割以上の健康保険組合が赤字予算の編成を余儀なくされたところです。そのうえ経済状況の悪化等により、健康保険組合の自助努力だけでは安定的な運営が難しいのが実情です。
このような状況のなか、昨年8月の総選挙で鳩山内閣が発足し、現行の高齢者医療制度は、2013年4月を目途に新たな制度へ移行する方向です。この新たな高齢者医療制度につきましては、適切な公費投入を前提にした持続可能な制度とすることが期待されております。
これらのことを背景に、本年も当健康保険組合としましては、時勢を見極め、より効率的な事業展開に努めてまいります。
健康保険組合の使命は、質が高くきめ細やかな保健事業を通じてみなさまの健康をサポートし、ひいては医療費削減につなげていくことでもあると考えております。特定健診・保健指導を中心に、疾病予防事業や健康づくり事業に取り組み、より一層、みなさまの健康向上に資する所存です。
みなさまにおかれましても、「健康は自らつくるもの」という意識をもって心身の健康に留意され、本年も充実した日々を過ごされますようお願いいたします。
最後になりましたが、本年がみなさまにとって幸多き一年となることをお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
冬になると、皮膚がかさついてかゆみが出ることが多くなります。その原因の多くは乾燥です。放っておくと、痒くてよく眠れなかったり、かきすぎて湿疹ができたりするなど、さらに症状を悪化させてしまうこともあります。一般的には、加齢とともにその傾向が強くなりますが、最近では年代を問わず、乾燥によるかゆみを訴える人が増えています。今回は、このような冬のかゆみについてお話したいと思います。
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3つの層から成り立っています。一番外側にある表皮は、細胞が何層も積み重なってできており、新しい細胞が作られると、古い細胞は徐々に上のほうへと押し上げられ、やがて角質細胞になります。角質細胞は、最終的に垢やフケになって皮膚から剥がれ落ちていきます。
この角質細胞が10~15層ほど積み重なってできているのが角層です。
健康な皮膚では、角層の表面は皮脂膜(汗腺から分泌された汗と、皮脂腺から分泌された皮脂によってできている)で覆われており、また皮膚の内部にある角質細胞間脂質(角質細胞の間にあるセラミド等からなる脂質)や天然保湿因子(角質細胞にあるアミノ酸等からなる物質)によって、ウイルスや花粉等の異物の侵入を防ぐとともに、しっとりとうるおいが保たれています。
汗腺や皮脂腺が少ない、衣服との摩擦が多く水分を取られやすいといった理由から、体の中でも、腕の上部から肩にかけて、すね、太もも、わき腹、腰などが特に乾燥しやすい部分です。
皮膚が乾燥すると、角層の細胞が乱れて隙間ができ、皮膚を守る機能が低下して、刺激を受けやすくなります。外部から刺激を受けて表皮に炎症が起こると、かゆみを感じる神経(C線維)が皮膚の表面近くまで伸び、わずかな刺激でもかゆみを感じるようになります。また、刺激を受けたC線維がサブスタンスPという物質を出し、皮膚内の肥満細胞を刺激することで、ヒスタミンが放出されます。さらに、ヒスタミンはC線維を刺激し、かゆみを生じさせるという悪循環を引き起こします。
皮膚の乾燥を改善しない限り、かゆみを生じやすい状況は変わりません。かゆいからといってかくと、それが新たな刺激となり、さらにかゆみが強くなります。さらにかき続けると、赤みのある湿疹(皮脂欠乏性湿疹)ができてしまうことがあります。湿疹をさらに引っかいているとかゆみの強い円形の湿疹(貨幣状湿疹)ができたり、小さな水ぶくれができて破れるとその浸出液がアレルゲンとなって、体のあちこちに湿疹(自家感作性湿疹)が現れたりすることもあります。
冬のかゆみに対しては、できるだけ皮膚の乾燥を防ぐことが重要です。適切な保湿を行えば、C線維も元の長さに戻り、改善されていきます。
保湿剤を使って、乱れた角質を整えることが乾燥対策の基本です。保湿剤で皮膚の表面に人工的な膜を作り、外部からの刺激や水分の蒸発を予防します。
市販のものでもかまいませんが、実際に使用してみて自分にあったものを選びましょう。
これまで述べたような様々な対策をとっても、症状が改善しない場合や、市販薬を1週間程度使用しても赤みやかゆみが治まらないときは、皮膚科を受診したほうがよいでしょう。
皮膚科では、乾燥に対して保湿剤を使用すると同時に、ステロイド薬(炎症を鎮め免疫反応を抑える)、非ステロイド抗炎症薬(皮膚の炎症を鎮める)、抗ヒスタミン薬(炎症を起こす刺激物質であるヒスタミンの作用を抑える)、抗アレルギー薬(アレルギー反応を起こす化学物質の分泌を抑えて、かゆみや炎症を抑える)などを用いて、湿疹のかゆみや炎症を抑える治療を行います。
さらに、頻度は高くありませんが、腎臓病、肝臓病、更年期障害、ストレスなどが原因でかゆみが起こることがあります。このような場合は全身検査をして、原因となっている病気の治療をしなければなりませんが、人の皮膚は敏感で、皮膚の症状が一番初めに出る場合もありますので、まずは皮膚科で相談してもよいでしょう。
肌の新陳代謝は睡眠中やリラックスした状態で活発になると言われています。不規則な生活やストレスを避け、運動、栄養バランスに留意するなど、日常生活で肌を守るための工夫をし、かゆみを防ぎましょう。
今日の皮膚疾患治療指針 第3版 医学書院
標準皮膚科学 第5版 医学書院
皮膚科診療プラクティス 7.皮膚疾患患者指導ガイド 文光堂
T-PEC保健医療情報センター 発行
監修:救急救命東京研修所
教授 名倉 節
副呼称に「財政危機突破と健保組合を守る総決起大会」を掲げた「平成21年度健保組合全国大会」が11月19日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されました。同日の大会には、健保組合関係者ら約4000人が参集、65歳以上を加入者とする新たな高齢者医療制度の創設提案を含む4項目の決議を採択。決議実現に向け全健保組合が一致して政策活動に取り組む方針を確認しました。
医療保険制度は現在、高齢者医療制度への拠出金増が原因で深刻な財政危機に直面しています。基本的に国庫補助がなく財政の自立度が高いとされる健保組合も例外ではなく、新しい高齢者医療制度が発足した08年度は、拠出金が前年度比18・3%の大幅増となり、単年度で3060億円の赤字を計上。同年度は準備金や積立金の投入で何とか収支均衡にこぎつけましたが、21年度は拠出金がさらに嵩む結果、6150億円の巨額赤字が見込まれています。
現行の高齢者医療制度は、急増する高齢者医療費の適正化と世代間負担の透明化を大きな目的にしており、このため、①高齢者全員への保険料の賦課(高齢者の人口割合で2年単位で見直し)②所得に応じた窓口負担︱などの措置が講じられました。
ただ、同制度は高齢者の不満やその後の経済状況の変化を背景に保険料や一部負担金が制度発足当初から大幅に軽減され、制度改革の目的・理念が薄らいでいるといった指摘のほか、75歳で高齢者医療を区分することの妥当性、「前期高齢者医療制度」の給付費に公費負担がないことによる保険財政の悪化問題などが対応すべき課題に挙げられていました。
鳩山政権は、これらの問題の検討を急ぎ、3年程度をかけて新制度に移行する方針を明らかにしていますが、こうしたなかで健保連が提案しているのが、65歳以上の高齢者全員をカバーする制度の創設です。
医療保険の過大な拠出金負担を是正するために、新制度の財源には給付費の5割程度の公費を投入。残りの5割は高齢者の保険料と若年者の支援金で賄い、若年者の負担は被用者保険と国保制度の加入者数で按分します。年金制度や介護保険制度の給付開始年齢を基準に、高齢者医療も包括的に保障される体系のほうが国民にも分かりやすいというのが健保連の基本的な考え方です。
このほか、大会では健保連政策の一環である「財政支援」「一元化阻止」「組合方式推進」に関する決議が採択されました。

相手の行動に不審を抱くとき、「何の魂胆があるのだろうか」といい、「人を陥れようとする魂胆」とか「独り占めしようとする魂胆」のように、良い意味より、ちょっと狡い「たくらみ」「策略」「才覚」の意味で使われる。
ところで、「魂胆」は中国医学の五臓六腑説から生まれたことばである。五臓とは肝、心、脾、肺、腎である。すべてに臓をつければ、現代解剖学の内臓名になるが、五臓六腑説の臓器は現代医学と似て非なるものであると心得た方がよい。五臓に胆、小腸、胃、大腸、膀胱の五腑が組みとなり、その外に三焦を加えた六腑をもって五臓六腑説が成立する。ここで話題の「魂胆」の胆は肝の対である。「肝胆相照らす」とか「肝胆寒し」などはここから生まれた言葉であ
る。
各々の五臓には精神的な機能が配当されている。肝は魂、心は意、脾は智、肺は魄、腎は精である。魂胆は肝に属する魂と胆が結びついたのである。いわゆる脳の働きはすべて五臓に属した。五臓の中でも、肝と腎は物事の決断など「肝腎」なことを司ると信じられていた。因みに、腎には泌尿器の役目はなかった。
生命のもと、元気が宿る場所と信じていたのであった。
酒井シズ(順天堂大学名誉教授)
]]>つきましては、ふるってご参加くださるようお願い申し上げます。
申込方法 = 平成22年1月29日(金)までに、別紙大会参加申込書に必要事項を記入・署名捺印のうえ、当健保組合にご提出ください。
◇募集定員がありますのでお早めにお願いします。
誓約書に署名捺印なき場合は受付けできません。FAXは不可
参加料 = 無料 <参加料1,500円(傷害保険料含む)は当健保組合が負担します>
| 種 目 | 距離 | 受付開始時間 | スタート時間 |
| 女 子 配偶者含む | 5㎞ | 9時00分 | 10時00分 |
| 男 子 A 年齢制限なし | 5㎞ | 9時00分 | 10時50分 |
| 男 子 B 45歳以上 | 10㎞ | 10時30分 | 11時30分 |
| 男 子 C 35歳以上45歳未満 | 10㎞ | 11時30分 | 12時30分 |
| 男 子 D 35歳未満 | 10㎞ | 12時30分 | 13時30分 |
◇年齢は大会当日を基準とします。
◇男子Aは年齢制限がありません。どなたでも参加可能です。
◇各種目の集合時間・集合場所は、スタート時間の10分前までにスタート地点にお集りください。
出演:内山理名・西岡德馬・香寿たつき・遠野あすか・国広富之 他
日時:平成22年2月7日(日) / 2月11日(祝日) / 2月14日(日) / 2月21日(日) 4日間
〔開演時間〕昼の部:午前11時
〔上演時間〕4時間(予定)休憩2回を含む
当日の予定(若干の変更があります)
出演:小林幸子・左とん平 他
日時:平成21年3月14日(日) / 3月21日(日) / 3月27日(土) 3日間
〔開演時間〕昼の部:午後12時
〔上演時間〕3時間30分(予定)休憩1回を含む
当日の予定(若干の変更があります)
申込期間
<お問い合せは施設課まで 電話 03-3409-7918>
「2009年度、6100億円の財政赤字」―健保組合が過去に経験したことのない財政危機に直面するなかで、09年度の「健康保険組合全国大会」が11月19日、東京・千代田区の東京国際フォーラムで開催されます。同日の大会には健保組合関係者ら約4000人が参集、財政赤字の大きな要因である高齢者医療制度の改革や公費投入の拡充などを求める決議を採択。これらの決議を向こう1年間の活動指針として決定する方針です。
現行の高齢者医療制度は10年に及ぶ議論を経て06年に関連法が成立、08年度から施行されました。新制度の周知不足や高齢者の不満を背景に、保険料や一部負担の軽減措置が講じられましたが、なお、同制度に対しては、75歳で「前期」「後期」に区分することの国民の納得性、さらには65~74歳層の給付費には公費負担が全くないなどの問題点が指摘されています。
制度改革については、これまでに①現行制度の枠組みを維持し、必要部分を修正②後期高齢者医療制度を廃止。被用者保険、国保制度を将来的に統合し、一元的に運用―などの構想が示されていますが、いずれも「考え方」の域にと
どまり、制度全体の枠組みを示すまでには至っていません。
我が国の高齢化のスピードは速く、現在22・7%の65歳以上の人口比率は、2015年には26%。医療、年金、介護などの社会保障給付費も現在の90兆円が116兆円の規模に達します。
こうしたなかで、健保連が検討を求めているのが高齢者医療の財源負担問題。
現行制度では「後期制度」には5割の公費負担がある一方、「前期制度」の給付費には公費を投入する法的な枠組みが整備されていません。急速に進む高齢化を乗り切るためには、公費の拡充は避けて通れないというのが健保連の判断です。
現実問題として、新しい高齢者医療制度がスタートした08年度の新制度への健保組合の負担金は前年度比18・31%増、公費負担がない「前期制度」への納付金は28・6%の増加率を記録。この結果、08年度決算は3060億円の巨額赤字を計上しましたが、21年度には拠出金がさらに嵩み、赤字は6100億円を超えると予測されています。
高齢者医療制度の改革問題は、高齢者への医療提供の問題だけではなく、医療保険の過重な財政負担をどこまで緩和できるか、また、医療保障制度の大きな枠組みである国民皆保険の持続性を高めるために必要な改革は何かが問い直されているのです。
高齢者医療制度の抜本改革には、制度の体系にまで踏み込んだ見直しが必要となりますが、この点について健保連は、関連制度との連携や財源負担の明確化の観点から、年金制度や介護保険制度の給付開始年齢を考慮した制度再構築案を提案しています。
]]>喉仏とは、解剖学的にいえば、喉の骨、すなわち甲状軟骨の上縁中央部が前に張り出した部分である。
思春期の声変わりと同時にこの突出が目立ってくる。男の第二次性徴である。
この高まりを西洋では昔からAdam's Apple とよんでいる。
アダムのリンゴである。語源は、予想されるように、聖書のエデンの園の話が絡んでくる。
アダムとイブが禁断の実を食べたとき、神に咎められたアダムが怖れのあまり、慌てて果物を飲み込んだ。
そのとき半分が喉につかえて、高まりになったのだ。この高まりは、全人類の男にその罪を忘れないようにと刻印したようなものである。
ところで、日本人が「アダムのリンゴ」の言葉に最初に出会ったのは『解体新書』を翻訳しているときであった。杉田玄白たちはこれを「結喉」と訳して、アダムを無視した。
『解体新書』の翻訳では、キリスト教に関係ある言葉や記号には細心の注意を払って避けている。発禁になるのを恐れたからである。
それ以来、日本では喉仏を「アダムのリンゴ」と呼ぶことはなかったのである。
酒井シズ(順天堂大学名誉教授)
]]>
認知症とは脳や身体の疾患を原因として、記憶力・判断力などの障害が起こり、普通の社会生活が送れなくなった状態と定義されています。認知症の原因は基本的には脳の病気であり、そのうち日本で最も多いのは脳が萎縮するアルツハイマー病です。次に多いのが脳梗塞や脳出血などの脳血管障害です。そのほか様々な脳の病気によって認知症が引き起こされます。現在わが国ではアルツハイマー病に罹患している方は約120万人、認知症全体では約250万人の患者さんがいると推定されています。さらに、認知症の予備群とも言える軽度認知障害を有する方はその数倍存在すると考えられています。
認知症の方と接する時、どうしたらよいのか戸惑いを感じられる方が多いと思います。これから認知症の方との接し方について、具体的なエピソードを含めながらお伝えします。
初期あるいは軽度の認知症の診断は容易ではありませんが、本人や家族が判定できる簡単なチェックリストが開発されています。次にご案内するチェックリストで該当する項目が2つ以上認められた場合は認知症が疑われますので、早期に受診されることをお勧めします。
(あくまでも疑いであって、これだけで認知症と判定するものではありません。)
チェックリスト(アメリカ・ワシントン大学アルツハイマー病研究センター/2005年)
ここまで認知症の方との接し方を中心にエピソードも含めながらお伝えしました。
認知症の方の『こころ』の特徴から基本的な介護のポイントがいくつかあります。
認知症の方を長期間介護することはとても大変なことです。そのため、介護をされるご家族自身の休息も必要です。例えば、介護保険サービスを利用して休息時間を作る、家族会の参加などで気持ちを分かち合う、電話での悩み相談で専門家にアドバイスを受けるなどで介護者自身の心身のケアを行うことが大切です。
また、身近に介護をされている方がいらっしゃる場合、その方は介護の辛さを誰にも理解されず、孤独を感じていることもあるでしょう。その時は温かい言葉やお気持ちをお聞きになるなどの、できる範囲での協力が何よりも大切です。
認知症の方への対応がよくわかるQ&Aブック認知症なんでも相談室 日本医療企画
バリデーション認知症の方との超コミュニケーション法 筒井書房
標準脳神経外科学 第11版 医学書院
日本認知症学会HP http://dementia.prit.go.jp/
T-PEC保健医療情報センター 発行
監修:救急救命東京研修所
教授 名倉 節