2010年2月号 新政権に必要な「政策」の吟味
高齢者医療費で負担転嫁案 ~全組織あげ「撤回」活動展開へ
新年おめでとうございます。
今年の干支は寅。高齢者医療制度の抜本改革が重要課題となるなかで、これとは全く別に、協会けんぽの高齢者医療費支援金を減額し、減額分を健保組合などが負担する「肩代わり案」が昨年の予算編成過程で厚生労働省から示されました。医療保険の枠組み全体への目配りを欠いた唐突な施策と言わざるを得ません。健保連は撤回活動とともに、高齢者医療の安定的な財源確保を政府に強く求めていく方針です。
協会けんぽに対する財政救済措置は、
- 協会けんぽの後期高齢者支援金に対する国庫補助(約2700億円)を廃止する
- 廃止額に見合う協会けんぽの支援金を減額する
- 支援金減額分は健保組合と共済組合が負担する④国庫廃止財源は協会けんぽの保険料抑制に活用する
―など。
支援金減額は、後期高齢者医療制度の支援金算定方法を1人当たり定額制から報酬比例に切り替えることによって捻出します。
確かに協会けんぽの財政は厳しく、09年度見込みで6000億円の赤字。
しかし、負担を求められる健保組合の財政はさらに深刻で、保険料の収入減を見込むと同年度の赤字額は7000億円の巨額に達する見通しです。
ここで見逃してはならないのは、協会けんぽ、健保組合ともに財政悪化の要因が高齢者医療費の拠出金にあることです。5割の公費がある後期制度に対し、前期制度の給付費には公費負担が全くありません。この仕組みが医療保険財政に深刻な影響を及ぼしていることは間違いありません。
「肩代わり案」の最大の問題点は、公費財源の在り方など基本問題の議論を抜きに、高齢者医療費の負担調整案が突然提起されたことです。長妻昭厚労相は厚生労働委員会などで、公費割合の拡大の必要性に言及していたはずです。
厚労相が示す方針と後期高齢者支援金からの国庫撤退はどこで噛み合うのか。
保険財政への影響を考えれば、„調整不足"で済ませられる問題ではありません。
こうした予算編成上の問題とともに、「肩代わり案」には
- 制度の改革問題を検討する「高齢者医療制度改革会議」との関係
- 協会けんぽ(旧政管健保)の法定国庫補助率(16.4~20%)を特例措置で17年間、13%にとどめてきたことの政府責任
- 保険料による所得調整と税制との関係
- 公費(税)による保険財政の調整機能の在り方
―など整理すべき多くの課題が残されています。
皆さんが本紙を手にする時にこの問題がどのような方向にあるか、政府の医療政策の„質"にかかわる重要な問題です。理不尽な制度改正の提案には健保連は全力で阻止をめざします。健保組合加入者3000万人の理解と支持は健保組合・健保連の組織活動の源泉です。
「虎に翼」―この諺を合言葉に健保連は向こう1年間の政策活動に取り組みます。
投稿者 セメント商工健康保険組合 : 2010年01月31日 19:42 : 無断転載を禁じる
