2009年9月号 来年度予算編成が本格化
「社会保障費」削減路線は転換 重点課題に高齢者医療の見直しも
2010年度予算の大枠となる「経済財政改革の基本方針2009」(骨太方針09)と「概算要求基準」(シーリング)が決定したことに伴い、年末に向けての予算編成作業が本格化します。政府が基本施策に掲げる優先課題は「安心社会の実現」。社会保障の機能強化の一環として、健保連が強く求める高齢者医療制度への公費の拡充も重要課題の一つです。
来年度予算の特徴は、小泉政権以来の歳出削減路線が転換され、社会保障費の自然増からの2200億円削減が見送られたことです。
社会保障費の抑制で医療や介護サービスが劣化し、「骨太09」が指摘するように「社会保障制度の“ほころび”の修復」が待ったなしの状況にあることがその要因ですが、同時に、機能強化への複数のシナリオを示し、消費税率換算で2.3~2.5%の財源追加を求めた「社会保障国民会議」の提言、税負担への具体的なプロセスの明示を要請した「安心社会実現会議」の報告が政策転換を促したとも言えます。
「骨太09」では、11年度を目標とする「再構築」のフェーズを設定。①介護職の処遇改善②救急・小児・産科など地域医療の再生③雇用対策―などに加え、低所得者を支援する「給付付き税額控除」の検討や「高齢者医療制度の見直し」を課題にあげています。
こうしたなかで、健保連が求めているのが、65~74歳を対象とする「前期高齢者医療制度」への公費の投入。現行の財源負担方式では制度の維持が困難と判断しているからです。
高齢者医療制度は、高齢加入者が多い国保制度を被用者保険が支援する仕組みですが、給付費への国庫負担がない「前期制度」を例にとると、被用者保険からの財政移転額は08年度で約2兆4300億円。健保組合の負担は約1兆円にのぼります。負担能力を超える調整金が原因で財政が破綻する組合も相次いでいます。
現実問題として、健保組合の財政は、高齢者医療制度への拠出金4000億円増が原因で08年度は6170億円の赤字を計上。09年度は不況による保険料収入減を見込むと、当初予測の6152億円の赤字幅はさらに拡大すると
みられています。
高齢社会を共同で担うための合理的な調整は必要です。しかし、それによって医療保険の健全性が損なわれるようなことは避けなくてはなりません。
社会保障費2200億円を削減するのも政治。施策に必要な安定財源を確保するのも政治です。
「民主主義は最悪の政治形態だ。これまで試みられた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けばだが」。イギリスの政治家、ウィンストン・チャーチルが残した言葉です。
最悪の政治にしないためにできること。それは、私たち自身が政治を選択することです。
投稿者 セメント商工健康保険組合 : 2009年08月15日 08:01 : 無断転載を禁じる
