2008年7月号 “新高齢者医療制度” 健保組合に大幅負担増

政府は原因分析し早急に対策を

政府の高齢社会白書(2007年版)が「世界のどの国も経験したことがない」と指摘する通り、日本は今後、21世紀半ばに向け超高齢社会への道をひた走ることになります。総人口に占める65歳以上人口の割合は、現在の21.5%から、25年には28.7%の水準に達します。

人口の高齢化は医療や介護といった社会保障費を増大させます。05年度に日本国民が使った医療費の総額は33.1兆円。この約5割が人口比で約2割の65歳以上の人たちの診療費や治療費。25年には、この割合が66%まで高まると予測されています。

高齢化に対応するために、65歳以上の医療を、75歳未満の「前期高齢者医療制度」と、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)」とで支える制度が創設され、今年4月から実施に移されました。

「前期制度」では、健保組合など医療保険各制度が65歳から74歳層を同じ割合で抱えるものとして医療費財源を分担します。これに対し、「後期制度」では、保険給付費の5割を公費で負担、残りの4割相当額を75歳未満の国民全員が頭割りで、1割を高齢者自身が支払う保険料で賄います。私たち現役層は、「納付金」(前期拠出金)、「支援金」(後期拠出金)の形で新制度の費用を負担していくことになります。

厚生労働省は制度創設時、健保組合の新制度への拠出金は2.4兆円と見込んでいました。これに対し、健保連が全組合を対象に行った調査(08年度予算早期集計)の数値は2兆8423億円。厚生労働省の見込値を4千億円余りも上回るなど、現役層の負担問題が改めてクローズアップされています。

拠出金の対前年度伸び率は約22%。保険料収入に占める割合は全組合の平均で46.5%。この割合が6割を超える組合も86組合。新制度への負担によって、組合の運営が不可能になる懸念が現実のものとなっています。

健保組合は、企業の経営側と労働側の協議で運営される「参加型」の医療保険制度。保険料の決定権を自ら有し、国庫に依存しないことから、「自主・自立」を旨とする唯一の制度と評されます。

政府は、このように医療保険の運営で優れた特性をもつ健保組合が財政的に行き詰まる原因を究明し、必要な対策を早急に講じる必要があります。国民皆保険制度を維持し、高齢者医療制度を「不安と不満」の代名詞にしないために、これらの対策は国の責任として取り組む課題といえます。

投稿者 セメント商工健康保険組合 : 2008年06月16日 08:02 : 無断転載を禁じる