2006年11月号 口からはいるA型肝炎

生ガキにあたった

口からはいるA型肝炎Mさんは31歳、有名雑誌の編集者です。自他共に認める食通で、ここ数年は生ガキに夢中。旬の1~2月は毎日のように食べていました。3月のある日、突然、Mさんは体に異変を覚えました。風邪をひいたような感じで、37度台の発熱、全身がだるく、食欲もありません。そのうちウイスキーのような色の尿が出て、顔が黄色く見えるではありませんか。慌てて近くの病院へ駆け込み、「A型肝炎」と診断されました。すぐに入院し、完治まで3カ月かかりました。

A型肝炎とはA型肝炎ウイルスが口から入って感染する伝染病です。患者の排泄したA型ウイルスを含む便によって汚染された水や魚介類が感染源で、血液や体液を介して感染するB型肝炎やC型肝炎とは異なる経路ではいってきます。A・B・C型いずれも、ウイルスが肝臓にもぐり込み、増殖して体内に抗体ができることから始まります。A型肝炎は「日本では毎年2~5月ごろ、生の貝を介して流行する」とは専門家の話。感染から発病までの潜伏期間は約4週間。Mさんのように2月ごろ感染、3月発病というパターンが多いそうです。また、Mさんの場合は生ガキが原因だったようです。どんな貝であろうと内蔵をとりのぞかないで生のまま食べると、感染の危険を伴いますが、よく煮たり焼いたりすれば感染は防げます。

抗体というと病気をやっつけて身体を守ってくれるいいイメージがありますが、必要以上に生産されたりパワーが強すぎたりすると、逆に自分自身の肝細胞を破壊してしまいます。こうした現象は若くて元気な人ほど起こりやすく、ときには「劇症肝炎」を引き起こして命にかかわるほど重症化する人もいます。A型ウイルスはキャリア(保菌者)になって家族にうつしたり慢性肝炎に移行したりする心配はありませんが、海外旅行で持ち込まれるケースが後を絶たないので、帰国後は体調に注意しましょう。

投稿者 : 2006年10月16日 10:42 : 無断転載を禁じる