2012年3月号 家族とはいえ…

長男家族と同居しているA子さん(84)は自分でできることも面倒がって何かと嫁に用を頼み、家事にも口出しします。
ちょこちょこと親戚や友人を招いては食事の支度などで嫁の手を煩わすのに、嫁の関係者が来ると「私の都合も聞いてくれないとね」と不快感を表します。

孫娘が見かねて「ママをいじめないで。ママは家族の一員でおばあちゃんの召使いじゃないんだから」と言ったことに立腹し、突如「妹の家に行く」と家を出ました。

「私がいなくなったらB子(孫)が喜ぶだろうね」とつぶやくのを聞いた嫁は『B子だけでなく私も大喜びです』と喉まで出かかったのをぐっと飲み込み『せめて1カ月はラクさせて』と祈りましたが、なんと数日で帰ってきました。

「やっぱりわが家が一番ね」とまた嫁におんぶに抱っこの生活を始めたのです。もう家には戻らないからと言わんばかりの勢いだったのに「何よ、まったく」とみんな落胆しました。

老い先短い母を労わりたいとの息子の思いに、いまどき珍しく優しい嫁の努力で自分勝手が許されているのです。孫娘は祖母のわがままなふるまいに健気にも母を庇おうとしたのです。

姑の立場の方は「まあ羨ましい」と。嫁側は「姑の世話なんて、冗談じゃないっ」。
夫を猛烈に愛しているか、余程美味しい話がない限り「夫の親と同居したい嫁はいない」がいまどきの、いえいえ昔からの「嫁の本音」なんですよ。

家族とはいえ愛や絆を結ぶには、上下関係のない対等なつながりがあってこそと思います。さて、あなたならどうありたいですか?

野原すみれ 『死ぬまで元気に自分流』・著者

投稿者 : 2012年02月15日 08:00 : 無断転載を禁じる