2009年9月号 ストレス

「ストレスが溜まる」「ストレス解消しないと」「ストレスになる」と「ストレス」は現代の管理社会に氾濫する。ある意味で便利な言葉である。

もともと物理学や工学などで使われている用語で、物体に外から力が加えられたときに生ずる歪みの意味である。これを医学や生物学の分野で使い始めたのが、カナダのハンス・セリエ(1907-1982)であった。

ホルモン学者セリエがいろいろな実験動物にさまざまな臓器の抽出物を注射したところ、動物はかならず同じ全身反応を起こした。セリエははじめ抽出物に共通する「有害物質」が存在すると考えた。しかし、他でも同じような全身反応を起こしたと報告があったことから、刺激の種類に拘わらず、防御のために生体は同じような歪みを起こすと解釈し、それを「ストレス」(汎適応症候群)と名付け「ストレス学説」を1936年のネーチャーに発表した。

しかし、生体に加わる刺激も、生体で起こる反応もストレスといっては混乱するので、外部からの刺激を「ストレッサー」といい、それによって生体に起こる歪み状態を「ストレス」と区別した。 その後、ストレスは医学、生物学の枠を超えて、社会で広く使われるようになり、俗に精神的緊張を意味するようになった。

ストレスに悩む現代人のストレスを解消するために「ストレス解消ビジネス」が次々と登場している。

投稿者 : 2009年08月15日 09:17 : 無断転載を禁じる