2009年8月号 「お皿の外」のことを知ろう

生産者たちの挑戦から見えてくるもの
美食家、グルメ……そう評された人に疑いの目を向けたくなることがあります。その人はたとえば、糠と塩だけで作られた純粋な沢庵をおいしいと感じる味覚をもっているか、また、「お皿の外」のことまで知っているか—と。

「お皿の外」とは元スローフード協会副会長・ジャコモさんの言葉。「スローフード」という言葉はひとつの流行を生みましたが、単にゆっくり食べることを目指す運動ではありません。一番大事なのは、各土地、各家庭で育まれた味を大切にすること。そのためには良いものを作ってくれる小さな生産者を守ることが欠かせない。つまりそれは、「お皿の外」を知ろうとすることに他なりません。うまい言葉です。

『スローフードな人生!』の執筆をきっかけに日本の食を探り始めた著者は、本書では日本各地でおいしく質の良いものを作る農家や漁師、酪農家などを紹介。食料自給率の低さ、食品添加物や遺伝子組み換え食品、大量流通や大量生産の波……絶望的な状況にも負けず、良いものを作るため苦労を厭わない彼らは、「スローフードのスター」です。

食べることは好きですか?それなら「お皿の外」—生態系や生産者の皆さんに、思いを馳せてみませんか? そうすると環境や生産者のことを考えて生活せざるを得なくなるはずです。洗剤の使い方を変える、少々割高でも良いものを買う、生産者から形の悪い、でも新鮮な野菜を買う、などなど。目指すは真の美食家。ぜひご一緒に。

『スローフードな日本!』
島村菜津著(新潮文庫)今年5月に文庫化。発酵文化によって培われてきた、世界で一番味蕾が多いといわれる日本人の味覚。しかし各地方の発酵文化が今や瀕死状態に……日本人の味覚が危ない!

葉月遊亀

投稿者 : 2009年07月15日 09:09 : 無断転載を禁じる