2005年9月号 果物は野菜の代わりになる?ならない?
あなたは食べることが好きですか。講演などで尋ねると、そう聞くだけでにっこりする方がたくさんいます。大好き、とまではいかなくてもほとんどの方は食べることは楽しみなことでしょう。
食事は、からだのエネルギーの源となる生理的な役割だけではありません。感覚的、情緒的な楽しみであると同時に、文化的な営みであり、美味しい食事は生きる喜びにもなります。特に高齢になるほど、食べる楽しみは大きなものとなってきます。
ところで、飽食の日本でも高齢者の方の中には低栄養状態になっている人たちがいるということを、ニュースでも時々目にします。その原因は食欲低下、消化・吸収能力の低下等で、ある程度は加齢と共に避けられないかもしれませんが、食欲や食べる楽しみ自体が低下しているのであれば、それは寂しい気がします。
食べる楽しみを保つために、大事なのが、食欲を保つこと。高齢者施設の方に伺うと、食べる意欲と生きる意欲、元気さとは関係が深いとのこと。今は「食欲ありすぎが問題」という方もいらっしゃるかもしれませんが、食欲がなくなることは、高齢になると生命の危機に結びつきやすくなるのです。
とはいって、食欲は人にいわれて起こるものでもありません。健全な食欲を得るためには、空腹感を感じるだけの神経系の元気さも必要ですし、空腹感を引き起こす身体活動量、動くための体力も必要です。「今日はこれが食べたい」と自分の体調などに合わせて食べたいものをイメージし、表現できる力があるとまた食欲もわきやすいもの。また、誰かと一緒に食べることは食事の場を楽しくしてくれますから、そのような場をもてるような人間関係を作っておくことも大切です。日々の食事で微妙な味の変化を感じる感受性を鍛えておくことも、食事を楽しみ続けるためには必要です。
適度な空腹感から美味しく楽しく食事を食べる。ずっとそうあるために、あなたにできる準備は何ですか。
新出 真理(ヘルスサポート研究会カナン代表・管理栄養士)
投稿者 : 2005年08月15日 00:00 : 無断転載を禁じる
