2010年8月号 8月に「高齢者医療」で中間まとめ
必要な世代間負担の透明化 現行制度の検証踏まえ方向性を
厚生労働省の高齢者医療制度改革会議(長妻昭厚生労働大臣主宰)は8月末にも制度改革の「中間報告」をまとめる方針ですが、新制度の枠組みづくりでは、公費負担を含め高齢者と現役世代の負担調整問題が焦点の一つになっています。政策の継続性を確保し持続可能な制度を構築するためにも、現行制度を根底から検証し、問題点に対応できる制度設計が求められています。
民主・国民新の政府与党が「年齢区分解消」など制度体系の見直しを掲げるように、現行の高齢者医療制度に対しては多くの問題点が指摘されています。制度を規定する法律本則とは別に、高齢者の保険料や一部負担金が予算措置で大幅に軽減される一方、健保組合や協会けんぽは急増する拠出金で深刻な財政危機に直面しているからです。
ただ、ここで忘れてならないのは、2006年の医療制度の改正(06~08年度に順次実施)は新しい高齢者医療制度を創設しただけではなく、高齢者医療の改革を軸に旧政管健保の公法人化(協会けんぽへの再編と都道府県単位の財政運営)、国保財政基盤の安定化、生活習慣病対策の医療保険者への義務化など幅広い改革が構想され実施に移されたことです。これらの改革によって2025年度までに約7兆円の医療費を圧縮する目標が掲げられ、現役層とのバランスに配慮して高齢者の費用負担の仕組みも大幅に見直されました。
現在、高齢者の保険料や一部負担金は国の経済政策(生活支援)の一環として、約2900億円の補正財源で軽減措置が講じられていますが、制度的には、
- 応益・所得による保険料徴収
- 高齢・若年者間の費用負担割合の見直し
- 所得による一部負担制(1~3割)の導入
―などが法律で規定されています。
高齢者にとっては負担増となる施策ですが、いずれも医療費の適正化と世代間負担の透明化を目的とした改正であることは確かです。
改革会議では、これらの施策全体を篩にかける方針ですが、なかでも現役世代と高齢世代の人口比率で保険料の負担割合を見直す仕組みをどのように評価するかは、世代間・世代内の負担調整問題を含め、後期制度廃止後の制度設計
にも大きく影響する問題です。
2000年度に創設された介護保険制度では、1号被保険者(65歳以上)と2号被保険者(40~64歳層)の加入率を指標に負担割合を決定する仕組みが導入され、04年度の年金制度の改正では、被保険者数の減少や平均寿命の伸びを年金額に反映する「マクロ経済スライド」が制度化されました。
高齢者医療制度の改革問題は、高齢者の社会保障が医療、年金、介護、福祉を横断する包括的な体系が望ましいとされるなかで、これらの制度との連携をどのように実現するか。また、高齢者自身が制度に参画し、現役世代とともに制度を支える負担体系をどう構築するかが問われていると言っていいでしょう。
09年度で6千億円を超えるとみられる健保組合や協会けんぽの深刻な財政赤字が改革問題の根底にあるのは言うまでもありません。
投稿者 : 2010年07月15日 08:00 : 無断転載を禁じる
