2010年7月号 健保連が高齢者医療で改革案
原則「65歳以上」対象に新制度 公費拡充し財政を安定化
後期高齢者医療制度の廃止に伴う新たな制度の検討が「高齢者医療制度改革会議」(長妻昭厚生労働大臣が主宰)で進められています。75歳の年齢区分を解消し、新制度の2013年度実施をめざす方針ですが、高齢者の保険料水準や財源構成をどうするかなど難問が山積。緊急課題となっている若年層の負担緩和を含め、夏までにどこまで具体的な改革方向を示せるかが焦点になっています。
現行の高齢者医療制度は10年に及ぶ議論を経て2008年4月に発足しました。鳩山政権が抜本改革を公約に掲げるように、「前期」「後期」に分ける制度の在り方や運営組織の責任体制など多くの課題があげられていますが、制度の持続性との関連で早急な対応を求められているのが財源問題です。
高齢者医療制度の給付費は、「前期制度」についてはその全額を医療保険各制度間の財政調整財源で賄い、「後期制度」は5割を公費、残りを高齢者自身の保険料(約1割)と若年層の支援金で分担しています。医療費が高額な後期制度に公費を重点投入する一方、前期制度については医療保険者間の財政調整幅の拡大によって財源を確保する仕組みが選択されました。
65歳~74歳層の加入率が高い市町村国保への被用者保険からの保険料の移転額は10年度で約2.4兆円。前期制度の財源負担方法が被用者保険財政に深刻な影響を及ぼしていることは確かです。
新制度が発足した08年度の健保組合の拠出金は前年度比18.3%(4100億円)の大幅増となり、単年度で3060億円の赤字を計上。10年度は医療費増に保険料の収入減も加わり、6605億円の巨額赤字が見込まれています。保険料収入に占める高齢者医療制度への拠出金割合は43.54%。拠出金割合が5割を超える組合が358組合に達することからみても、現行制度の負担構造には大きな問題点があることが読み取れます。
高齢者医療制度の新たな枠組みを検討する「高齢者医療制度改革会議」は、長妻厚労相が示した「年齢で区切らない」「広域化の方向につながる」―など6項目の原則に沿って議論が進められていますが、この会議で健保連が提案しているのが、公費投入の拡充を前提に65歳以上を対象とする制度の創設です。
健保連の提案は、
- 65歳以上を対象に、前期・後期の区別のない制度とする
- 費用負担や運営責任が明確な「別建て」の制度とする
- 公費、高齢者の保険料とともに、現役世代が支える仕組みとする
- 保険者機能が発揮できる運営体とする
- 現役高齢者とその家族は被用者保険への継続加入を検討する
―などが骨子。年金制度や介護保険制度の給付開始年齢との整合性に配慮しているのが大きな特徴です。
現在、わが国の65歳以上の人口比率は22.1%。65歳以上の医療費割合は07年度で約52%、15年度には3分の2を占めることになります。急速に進む高齢化と医療費増にいかに対応していくか。その回答を求められているのが制度改革問題だと言っていいでしょう。
投稿者 : 2010年06月15日 08:58 : 無断転載を禁じる
