2009年6月号 深刻化する健保組合財政

2年連続で、6千億円超の赤字 高齢者医療費負担が影響

高齢者医療制度がスタートして1年。制度の名称変更や財源負担の見直し問題が検討されていますが、これまでの健保連の調査で、高齢者医療の支え手である健保組合の費用負担が過大で組合運営に大きな支障が出ていることが明らかになりました。制度を維持するために、財源まで踏み込んだ改革が求められています。

健保連の「09年度健保組合予算早期集計」によると、高齢者医療制度への健保組合の費用負担は2兆7512億円。保険料収入に占める負担金割合は45.2%。この割合が5割を超える組合が438組合。赤字組合の割合は91.5%。赤字額は6152億円、2年連続6000億円を超える巨額赤字を計上しました。

意外に知られていませんが、健保組合の運営費の約98%は皆さんが納める健康保険料。各健保組合はこの財源で医療給付を行い、人間ドックや健診、健康相談・健康指導など手厚い疾病予防事業を実施しています。世代間扶養の理念に基づく高齢者医療制度への拠出金も保険料が財源です。問題は、この負担金が重すぎること。多くの健保組合が加入者へのサービスを縮小して拠出金を捻出しているのが実態です。

75歳を年齢区分に、65歳以上の医療を「前期」「後期」の仕組みに分ける現行の制度。その特徴は財源の負担方法です。「後期制度」では、給付費の5割に公費を投入。残りの4割を74歳までの全員、1割相当額を高齢者の保険料で賄います。これに対し、「前期制度」は健保組合や市町村国保など医療保険各制度が65歳から74歳層を同じ割合で抱えるものとして給付費の全額を分担します。後期制度への負担金を「支援金」、前期制度の負担金を「納付金」と区別するのは負担方法の違いによりますが、分かりやすい仕組みとは言えません。

高齢者医療制度への健保組合の負担金は新制度が発足した08年度に4100億円の急増となりましたが、今回の09年度の予算推計でも過重な負担に改善の兆しは見えていません。前期制度に公費負担がなく、費用負担者の財政事情が考慮されないなど制度の仕組みに問題があると分析されています。

政府も事態を重視、前期制度への公費の投入の検討や、拠出するお金の分担方法の見直しなどを提示しています。いずれにせよ制度問題を解決するには、仕組みのあり方まで踏み込んだ改革が必要です。健保連は、年金や介護保険との緊密な連携を視野に、65歳以上の医療を包括的に保障する制度を提案しています。

投稿者 : 2009年05月15日 08:02 : 無断転載を禁じる