2009年12月号 高齢者医療制度の改革求め今月19日に健保組合全国大会

「年金」「介護」との連携が課題

「2009年度、6100億円の財政赤字」―健保組合が過去に経験したことのない財政危機に直面するなかで、09年度の「健康保険組合全国大会」が11月19日、東京・千代田区の東京国際フォーラムで開催されます。同日の大会には健保組合関係者ら約4000人が参集、財政赤字の大きな要因である高齢者医療制度の改革や公費投入の拡充などを求める決議を採択。これらの決議を向こう1年間の活動指針として決定する方針です。

現行の高齢者医療制度は10年に及ぶ議論を経て06年に関連法が成立、08年度から施行されました。新制度の周知不足や高齢者の不満を背景に、保険料や一部負担の軽減措置が講じられましたが、なお、同制度に対しては、75歳で「前期」「後期」に区分することの国民の納得性、さらには65~74歳層の給付費には公費負担が全くないなどの問題点が指摘されています。

制度改革については、これまでに①現行制度の枠組みを維持し、必要部分を修正②後期高齢者医療制度を廃止。被用者保険、国保制度を将来的に統合し、一元的に運用―などの構想が示されていますが、いずれも「考え方」の域にと
どまり、制度全体の枠組みを示すまでには至っていません。

我が国の高齢化のスピードは速く、現在22・7%の65歳以上の人口比率は、2015年には26%。医療、年金、介護などの社会保障給付費も現在の90兆円が116兆円の規模に達します。

こうしたなかで、健保連が検討を求めているのが高齢者医療の財源負担問題。
現行制度では「後期制度」には5割の公費負担がある一方、「前期制度」の給付費には公費を投入する法的な枠組みが整備されていません。急速に進む高齢化を乗り切るためには、公費の拡充は避けて通れないというのが健保連の判断です。

現実問題として、新しい高齢者医療制度がスタートした08年度の新制度への健保組合の負担金は前年度比18・31%増、公費負担がない「前期制度」への納付金は28・6%の増加率を記録。この結果、08年度決算は3060億円の巨額赤字を計上しましたが、21年度には拠出金がさらに嵩み、赤字は6100億円を超えると予測されています。

高齢者医療制度の改革問題は、高齢者への医療提供の問題だけではなく、医療保険の過重な財政負担をどこまで緩和できるか、また、医療保障制度の大きな枠組みである国民皆保険の持続性を高めるために必要な改革は何かが問い直されているのです。

高齢者医療制度の抜本改革には、制度の体系にまで踏み込んだ見直しが必要となりますが、この点について健保連は、関連制度との連携や財源負担の明確化の観点から、年金制度や介護保険制度の給付開始年齢を考慮した制度再構築案を提案しています。

投稿者 : 2009年11月15日 08:43 : 無断転載を禁じる