2008年9月号 「社会保障費の削減」を閣議決定 政府に望まれる慎重な対応
「平成19年度から23年度までの5年間で、社会保障費への国庫負担を1.1兆円削減する」との政府の方針が閣議決定されました。これを受け、来年度の社会保障予算をめぐる政府・与党内の調整が、8月の概算要求を経て年末まで続くことになります。
政府が社会保障費増の抑制を重視するのは、国の歳出に税収が追いつかない状態が続き、19年度末の債務残高が849兆円にも達しているからです。国民1人当たりにして673万円。借金増に歯止めをかけるには、国の政策経費の46.8%(20年度)を占める社会保障関係費の抑制が必要というのが政府の方針です。
その政策の柱が基礎的財政収支の黒字化。歳入と歳出を一体的に見直して、「借金を除く歳入」と「借金返済を除く歳出」との差額を23年度までにプラスにする政策です。このために、19年度と20年度は、社会保障費の国庫負担2200億円が削減されました。
ただ、こうした施策に対しては、国民生活への影響を懸念する声も強まっています。医師不足、介護人材不足による医療提供体制や介護事業の縮小問題が、国民生活に大きな影響を及ぼし始めているからです。また、コスト削減が可能な社会保障分野が極めて限られてきているといった問題もあります。
20年度は、2200億円を捻出するために、法律で規定されている政管健保への国庫補助金のうちの750億円を、健保組合に肩代わりさせる措置がとられました。舛添厚労相自身が「筋が悪い」と認め、世論からも「数字のつじつま合わせ」と強く批判されましたが、法案は現在国会で継続審議となっています。
高齢化は医療や介護の必要度を高めます。18年度比較で37年度には、年金が47兆円から65兆円(約1.4倍)、医療は28兆円が48兆円(約1.7倍)、介護は7兆円が17兆円(約2.5倍)に増加すると予測されています。
次世代の負担を考えれば、財政の健全化は急がなくてはなりません。しかし同時に、福田首相が「5つの安心プラン」で示すように、医療や介護への重点的な取り組みが必要になっているのも事実です。国民の支持を得て「行財政改革」を進めるためにも、社会保障費の一律削減には慎重であるべきでしょう。
投稿者 : 2008年08月15日 18:26 : 無断転載を禁じる
