2008年10月号 概算医療費33.4兆円に

医療費対策で“メタボ”スタート求められる国の責任の明確化


福田改造内閣が発足し、厚生労働行政は舛添要一厚労相が続投することになりました。当面は、医師不足や介護の人材確保に全力で取り組む方針ですが、高齢化で増加し続ける医療費対策も重要な政策課題の1つです。

厚生労働省がまとめた「平成19年度概算医療費」によると、自費診療と労災医療費を除いた医療費の総額は33.4兆円、過去最高額を更新しました。前年度と比較して約1兆円の増で、7000億円が70歳以上高齢者の増加分。医療費全体に占める高齢者医療費の割合も1ポイント上昇して43.4%となりました。

高齢者1人当たり医療費の増加にも歯止めがかかっていません。19年度の70歳以上の医療費は75.7万円、75歳以上では87.1万円。70歳未満医療費の4.7倍、5.4倍に相当する額です。高齢者が病気がちで、受診頻度が高いことが大きな要因ですが、疾病構造の変化も影響しています。死因の6割を生活習慣病が占め、治療期間が長期化しているからです。

4月に始まったメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策は、高齢者医療費の特質を踏まえ、高齢期に入る前に、特定健診と保健指導を徹底。生活習慣病患者を減らす作戦です。健保組合など医療保険者が事業の実施者になります。

健診の結果、男性で85センチメートル、女性で90センチメートル以上の腹囲があり、これにリスク因子である血圧、血糖、脂質のいずれかが重なると生活習慣病の予備群と判定され、保健指導を受けることになります。

厚生労働省の推計では、40から74歳(約5700万人)のうち、メタボ該当者は940万人、予備群が1020万人。予備群に重点的な指導を行うなどで、27年度までに医療費2兆円を抑制する計画です。

ただ、この事業には巨額な費用が見込まれます。健保連のまとめでは、1人当たり健診費は最低で5250円。仮に、5700万人分となると健診費だけで3000億円。保健指導を含めると、費用はさらに膨らむとみられ、医療保険者にとっては極めて重い負担となります。

国の事業責任のあり方が改めて問い直されるとともに、「費用対効果」が検証できる体制の整備が求められています。少なくとも、健診によって医療費が膨らむような事態は避けなくてはなりません。

投稿者 : 2008年09月15日 15:46 : 無断転載を禁じる