2005年12月号 私たちは厚労省の高齢者医療制度改革案に反対します
厚生労働省は10月19日、「新たな高齢者医療制度の創設」と「医療費の適正化」などを柱とする、医療制度改革の試案を公表しました。この試案は、高齢化に伴う医療費の増加に歯止めをかけ、わが国の医療制度を将来にわたって持続可能なものにするという、来年の医療制度改革に当たっての基本的な考え方を明らかにしたものです。
試案では、高齢者医療制度の創設について、65歳以上の高齢者を75歳で区分し、75歳以上の後期高齢者を新しい高齢者医療制度の受給対象とすることが提案されました。しかし、この案に示されている高齢者医療制度の設計には多くの問題点があると言わざるを得ません。
健保連が問題視するのは、まず、65~74歳の前期高齢者の給付費について、各保険制度の75歳未満の加入者数に応じて負担する「財政調整」という仕組みを導入する方針が打ち出されたことです。この仕組みは、高齢者の加入割合が高い市町村国保への支援の多くを健保組合が担うことになります。試案に基づく試算によれば、平成20年度で、政管健保や共済組合、国保は財政が好転しますが、健保組合だけが2200億円の負担増になっています。また、後期高齢者医療を支える若年者負担については、負担不能な0歳からも負担させることが考えられています。若年者も応分の支援をする必要がありますが、その負担について乳幼児も支え手とすることは、少子化対策からみても問題です。さらに、政府が15年3月に閣議決定した「基本方針」では、健保組合に重い負担を強いている拠出金制度と、これを財源とする老人保健・退職者医療両制度が廃止されることになっていたにもかかわらず、65歳未満を対象とした退職者医療制度の存続が検討されているのです。
制度改革の議論の根底にあるのは、「高齢者の医療費が増え続ければ、支え手である現役世代は負担に耐えきれず、国民皆保険制度は崩壊してしまう」という危機感だったはずです。ところが、今回の試案は、支え手が負担をどこまで許容できるかという視点をまったく欠いたものであり、到底受け入れることはできません。健保連は、年金や介護といった他の社会保障制度との整合性を図ることができる、65歳以上を受給対象とする高齢者医療制度の創設を提案しています。国民皆保険制度を維持し続けるためには、世代間・制度間の負担が公平な仕組みづくりが必要なのです。年内には政府案がまとまる予定ですが、健保連は真の制度改革の実現に向けて、試案の再考を強く訴えていきます。
投稿者 : 2005年11月15日 09:02 : 無断転載を禁じる
